ロッテ伊東監督 WBCへの助言 時にはデータを捨て臨機応変に

[ 2013年2月26日 10:50 ]

09年、言葉を交わす原監督(左)と伊東総合コーチ

 09年の第2回大会で総合コーチとして侍ジャパンの2連覇を支えたロッテ・伊東監督は、国際大会では技術以外の要素が勝敗を大きく左右すると身をもって経験した。

 「あまりデータに頼って頭でっかちになりすぎるのは危険。一発勝負の戦いは、その場の状況に応じた戦い方が最も重要になる。だから、大会中はミーティングもほとんどやらなかった」

 日本のお家芸は世界トップクラスの緻密な野球だが、重要になるのがデータの扱いだと捕手出身の伊東監督は力説する。2次ラウンドのキューバ戦で痛感した。打者の特徴、弱点は事前に分析済み。ところが、試合が始まるとグラウンドに響く甲高い音に気づいた。

 「キューバのベンチから攻撃時に指笛が聞こえてきた。その音で捕手のミットの構えた位置やサインを味方打者に教えていたんだよ。だから、こっちはその逆を突くプレーに徹した」

 データ分析に基づいた各打者の攻略パターンはあったが、日本のベンチはそのデータを捨てた。捕手には外角に構えさせて、投手には内角の変化球を徹底して投げさせた。この戦法がはまった。「変化球だから、キューバの打者は“抜けた”と思ったんだろうね。みんな内角の変化球に対応できずに、きっちり打ち取れたよ」。もちろん、高度な技術があってこそなせる戦術といえる。

 「ベンチが指示を出しても、それを実行できる技術がないとどうしようもない。まさに日本人選手の技術の高さが発揮された」。結局、キューバに1点も与えず、見事な作戦勝ちを収めた。

 「日の丸を背負うプレッシャーは相当なもの。その緊張感の中で、いかに臨機応変に戦えるかがポイント」。修羅場を経験した者にしか分からない重みのある言葉だった。

 ▽伊東監督とWBC 原監督を支え、大会中は戦術面を任された。1次ラウンドでは韓国との対戦を前に韓国―台湾戦を偵察するなど、徹底したデータ分析で、宿敵との初戦は14点を奪う大勝。2次ラウンドのキューバ戦では最速164キロ左腕・チャプマンの直球を狙わせて攻略。逆にバッテリーにはデータ無視の配球を指示し、相手打線を封じた。決勝ラウンドでも米国、韓国を撃破。日本の2連覇達成に頭脳面で貢献した。

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2013年2月26日のニュース