楽天ドラ2則本 韓国王者サムスン斬り 多彩スライダーで手玉

[ 2013年2月19日 06:00 ]

<韓国サムスン・楽天>3回を1安打無失点に抑えた楽天ドラフト2位・則本は手首の柔らかさをアピール

練習試合 楽天8―0韓国サムスン

(2月18日 赤間)
 走者を気にするそぶりは全くなかった。6回2死二塁、打席には5番の朴漢伊(バク・ハニ)。ドラフト2位右腕の則本(三重中京大)は、フルカウントから高速スライダーを投げ込み、空振り三振を奪った。

 「初の対外試合で緊張しましたが、無失点で帰ってこられて良かったです」。昨年の韓国シリーズ覇者のサムスンを相手に4回から3イニングを1安打無失点。最速148キロの直球とスライダーで3三振を奪った。リリース時に顔が上を向く独特のフォームが、さらに力強さを与えた。

 気持ちも強い。4番の崔炯宇(チェ・ヒョンユ)には唯一の安打となる左翼線二塁打を浴びたが、全球直球勝負。「本塁打以外ならいいかな、と思った」と涼しい顔だ。紅白戦を含め、7イニング連続無失点。新人ながら開幕ローテーション入りも現実味が出てきた。星野監督も「あれくらいやると思っとったよ。スライダーの切れは素晴らしい。どこでも使えるな」とご機嫌だった。

 スライダー系を4種類操る。130キロ前後の縦、横の変化に加え、130キロ台後半の高速、さらに120キロ台前半の「スラーブ」が武器。人並み外れた手首の柔らかさが生かされている。前に折れば親指が、後ろに反らせば中指が手首まで届いてしまう。大学時代に使っていた140キロ台のカットボールはまだ投げていない。「シーズンの終盤まで投げない。今はスライダーとスラーブで勝負したい」。引き出しはまだまだ隠している。

 視察したオリックスの曽我部直樹スコアラーも「球が重そう。内外角にも投げ分けている」と舌を巻いた。出身の三重中京大は3月末で閉校する。則本は最後の卒業生になる。母校の名前を永遠に残すため、開幕ローテーション入りし、目指すは新人王。「ようやくプロ生活がスタートした実感がします」。初々しい言葉だけは新人らしかった。

 ◆則本 昂大(のりもと・たかひろ)
 
 ☆生年月日 1990年(平2)12月17日、滋賀県生まれの22歳。1メートル78、81キロ。右投げ左打ち。

 ☆球歴 大滝小1年時に「多賀スポーツ少年団」で野球を始め、多賀中では軟式野球部に所属。八幡商では2年夏からエースも甲子園出場なし。三重中京大では、三重学生リーグで5季連続最優秀投手。4年時の大学選手権では、延長10回の参考記録ながら1試合20奪三振の快挙。

 ☆持ち球 最速154キロの直球と、スライダー、フォーク、チェンジアップ

 ☆憧れの人 小学4年時にテレビ番組で、元広島の炎のストッパーこと故津田恒美さんことを知り感銘。背番号は津田さんと同じ「14」を選び、グラブには津田さんの座右の銘「弱気は最大の敵」を刺しゅう。

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