栗山監督 名将・三原さんに誓う大谷二刀流

[ 2013年1月21日 06:00 ]

三原脩氏の墓前で手を合わせる栗山監督

 日本ハム・栗山英樹監督(51)は20日、東京都内で名将・三原脩氏の墓参りをし、注目のドラフト1位ルーキー・大谷翔平投手(18=花巻東)の二刀流での起用へ誓いを立てた。三原氏は近鉄の監督に就任した68年、ルーキーだった永淵洋三選手を二刀流で起用。尊敬し、憧れる名将に倣い、先入観を持たずに大谷を投手と打者で大きく育てる意思を固めた。

 墓前に花を供え、手を合わせた。昨年のリーグ優勝を報告し、監督2年目への決意を伝えた栗山監督。ただ、天国の名将へ語りかけたのは、自身の采配とチームのことだけではなかった。

 「いつか“よく育てたな”と言ってもらえるように頑張ります」。二刀流での育成を決めている大谷のことを言わずにはいられなかった。三原氏だったらどう育て、どう起用するか。「三原さんに“大谷に二刀流をさせますか”なんて聞くのは愚問。間違いなく二刀流で使うはず。どんなふうに使うか、できるならそれを聞いてみたい」

 先入観を持たず、誰も使わない戦術を次々と駆使して優勝したのが「三原魔術」。巨人、西鉄、大洋、近鉄、ヤクルトで指揮を執り、通算1687勝を挙げたその名将は近鉄監督1年目の68年、投手として入団したルーキー・永淵を打者としても起用した。「自分のイメージでは本格的な二刀流となると、永淵さんが最後。三原さんはどうして二刀流で使ったのか。本を読んだりすると、打撃も良かったから代打でも使っていったという感じだと思う」。そのデビューは衝撃的だった。4月16日の東映(現日本ハム)戦。代打でプロ初本塁打を放つと、そのままリリーフでマウンドへ上がって2回2/3を2安打1失点に抑えて、チームはサヨナラ勝ちした。

 大谷の起用方法について、栗山監督のイメージはそれに近い。DHを使わずに野手で出場し、1点差の終盤に守備位置からマウンドへ直行。きっちり抑えて守護神・武田久につなぐ。「そんなふうになったら夢があっていいよね」。永淵が実際に投手と野手の両方で試合に出場したのは68年だけ。投手としては中継ぎで11試合、先発も1試合経験したが、三原氏に打撃センスを見いだされ、打者に専念した69年に首位打者を獲得。二刀流を複数年続けることの難しさを示しているが、栗山監督は「やってみて難しいのなら納得いく。でも、やらさずに無理と決めつけたりしない。あれだけの素材を育てる使命があると思っているから」。誰もが納得するまで挑戦させる方針を固めた。

 日本ハムの監督に就任した一昨年12月、三原氏の墓前に「よくやったなと言ってもらえるように頑張ります」と誓い、リーグ優勝を果たした。あの日以来のお墓参り。45年前に「三原魔術」で躍動した永淵のように、二刀流・大谷で球界へ鮮烈な風を吹き込む。

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2013年1月21日のニュース