高野連“プロとの壁”撤廃 指導者条件が教諭2年→研修3日

[ 2013年1月18日 06:00 ]

協議会に集まったプロ側、学生側の面々

 日本高野連は17日、プロ野球経験者の高校球児指導条件を撤廃する決断を下し、半世紀に及んだプロ側とアマ側のこじれた関係が雪解けを迎えた。「学生野球資格に関する協議会」が都内で開かれ、高校の監督などの指導者になるための規定「中学、高校で2年の教諭歴」を撤廃し、座学による研修を受ければ学生野球資格を認めるという大幅な条件緩和案を日本野球機構(NPB)に提示した。

 プロ、アマ両者の関係が新たな局面を迎えた。これまでプロ経験者が学生を指導するには高校などで教諭や臨時講師を2年以上務めることが条件となっていたが、これを撤廃。NPBの研修を受けた上で、日本学生野球協会が公認する研修制度を受講すれば、学生野球資格の回復が認定されることになった。プロ退団者にとって、ハードルが高かった高校野球の指導者への道が身近になる。

 昨年11月、プロ側は教員資格に代わるNPBの研修制度を提案したが、日本高野連は難色。「高校野球はあくまで教育の一環」として、プロ経験者の受け入れに難色を示す抵抗勢力も多かったが、風向きを変えたのは労組・日本プロ野球選手会の新井貴浩前会長(阪神)だった。昨年12月の選手会定期大会で「このままでは何も変わらない。一番かわいそうなのは(高校)球児」と訴えた。選手会には03年から始まったシンポジウム「夢の向こうに」で高校生の指導を続けた実績がある。日本高野連の田名部和裕理事は「(新井選手の発言は)高野連全体として効いた。このままではいかんとなった」と歩み寄るきっかけとした。

 アマ側の研修は「校内における部活動の位置づけ概論」など8項目あり、1項目に対して1時間。計8時間を3日間で行う方向。これまで教諭として最低2年を要していた資格回復が、3日に短縮される。受講資格があるのは最終所属球団の推薦を得て、NPBによる研修を経た者。人数も1球団につき5人が目安で、1年60人程度。資格は高校・大学共通となる。

 NPBの下田邦夫事務局長は「思った以上の回答」と話した。NPBが11年秋に行った「セカンドキャリア」の調査でも、回答した223選手のうち最多28・4%が、引退後の希望進路に高校野球の指導者を選んでいる。選手会の松原徹事務局長は「お互いやってきたことに間違いはなかった」と感謝を口にした。

 日本高野連はセンバツ開幕前日の3月21日に全国理事会で47都道府県高野連に理解を求め、今オフからの実施を目指す。61年の柳川事件に端を発したプロアマの断絶。日本高野連の竹中雅彦参事は「氷が解けた水が川となり、大河となる過程」と表現した。50余年の時を経て、日本球界の歴史が大きく動いた。

 ▽学生野球資格の回復に関する規則 プロ退団後、高校教諭として通算2年以上在職している元プロ野球団体関係者は当該都道府県高野連、日本高野連を経て、日本学生野球協会で指導者の適性審査を受けることができる。実習助手や非常勤講師としての在職期間は教諭歴に加えず特別支援学校、中学校教諭歴は加算。臨時講師の経験も教諭歴に準ずる扱いとなる。

 ◇日本高野連の回答骨子◇

 一、学生野球資格回復については日本学生野球協会で審査し、認定された資格は高校、大学野球とも指導ができる共通の資格とする

 一、学生野球資格回復申請者は、プロ野球側で設けた研修制度と日本学生野球協会が公認する研修の修了者とする

 一、プロ側が行う研修では、かつてプロ野球と学生野球がなぜ断絶に至ったかの背景やプロ、アマ間で生じた問題の事実関係を理解することとする

 一、新人選手獲得に際し、プロ野球側で設けた関連規定や申し合わせなどを開示し、プロ野球、学生側双方でトラブル回避に努めることとする

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