元プロ野球選手 座学で高校監督に…高野連が条件大幅緩和

[ 2013年1月17日 17:50 ]

「学生野球資格に関する協議会」後に記者会見する、日本高野連のプロアマ健全化委員会の西岡宏堂副委員長。左は内藤雅之・日本学生野球協会事務局長

 日本高野連(奥島孝康会長)は17日、プロ経験者が高校の監督など指導者になるための規定「中学、高校で2年の教諭歴」を撤廃し、座学による研修を受ければ資格を認めるという条件緩和案をプロ側に示した。既に指導者の受け入れを進めている社会人や大学と足並みをそろえる形の提案をプロ側も歓迎し、半世紀に及んだプロとアマのこじれた関係が大幅に改善される。

 プロ経験者が指導者になるための規定を話し合う「学生野球資格に関する協議会」がこの日、東京都内で開かれ、日本高野連など学生側が日本野球機構(NPB)に提示した。学生側、プロ側ともに5月をめどに研修の具体的なカリキュラムなど詳細を詰める意向を示した。

 日本高野連によると、学生野球の指導資格回復を希望する元プロ選手は、NPBと日本学生野球協会の研修を修了し、学生側の審査を経て高校、大学双方の指導ができる資格を得る。申請に当たっては、各球団の推薦を求めることとする。

 日本高野連のプロアマ健全化委員会の西岡宏堂副委員長は「元高校球児の『恩返ししたい』という思いを聞いてきた。それを素直に受け止めた」と踏み込んだ決断に至った理由を説明。NPBの下田邦夫事務局長は「思った以上の回答。特に選手の思いをすごく理解していただいた」と述べた。

 日本球界は1961年にプロ側による社会人選手の強引な引き抜きが問題となった「柳川事件」をきっかけにプロ、アマの交流が断絶した。高校野球は社会人、大学に比べてプロとの関係改善のペースが遅かったが、指導者の条件となる教諭経験の必要年数を徐々に減らすなど、緩和してきた。2012年2月から、プロ側との協議会を設けて指導者資格についての話し合いを続けた。

 ▼ 田名部和裕・日本高野連理事の話 いつまでもぐずぐずと放っておいてはいけない問題だった。この研修制度は高校の監督になるということだけが目的ではない。(修了することによって臨時コーチなど)一時指導ができるようになる。

 ▼竹中雅彦・日本高野連参事の話 僕らの年代ではプロとは絶対かかわっては駄目だというのがあった。でも、いつかは解決しなければならない問題。アマ側に教える場が奪われると危惧する声もあるが、すべての学校の指導者がプロ出身者になるわけではなく、現場を説得していく。

 ▼西岡宏堂・日本高野連プロアマ健全化委員会副委員長の話 元高校球児の「恩返ししたい」という思いを聞いてきた。ここでこれがつぶれたら2度目はない。(プロ側には)真剣に取り組んでほしい。

 ▼内藤雅之・日本学生野球協会事務局長の話 大学は高校の方針に反対する気はない。分かりやすくていい。実現したら(東大の特別コーチになる)桑田君も(研修を)受けないといけないんじゃないか。

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2013年1月17日のニュース