槙原氏 松井の打撃投手務める予定だった「でも来るべき時が…彼の美学」

[ 2012年12月29日 11:02 ]

巨人の先輩・槙原氏(右)と談笑する松井

松井秀喜引退

 巨人時代の同僚である評論家の槙原寛己氏(49)は、最後まで美学を貫いた後輩・松井の決断を尊重した。

 このタイミングでの引退表明には驚いている。来春のキャンプに招待してくれる球団はあると聞いていたし、親しい仲間の間で、来年1月には東京で練習場所を確保して私が打撃投手をするという話を進めていた。決断を迫られるのはキャンプを終えて契約のオファーがあるかないかにかかっていると思っていた。

 でも…。来るべき時がついに来たと受け入れるしかない。最後は日本でプレーしてほしいと思っていたが、両膝の故障もあって松井秀喜のバッティングはもうできない。そう判断してバットを置く決意をしたのだろう。彼の美学である。

 巨人に入ってきたときの宮崎キャンプ。2月上旬の寒い時期にひむか球場のバックスクリーンを越える打球に、とんでもないのが入ってきたなと思った。衝撃の後輩は順調に成長し、私はいつしかファンになっていた。

 50本塁打をマークした翌年にメジャー挑戦。イチローとは違い、日本の長距離砲がどれだけ通用するか。常に勝利を求められるヤンキースという名門球団で試合に出るためには一発を捨て、左方向へ押っつける打撃も求められる。スタイルを変えてレギュラーの座をつかんだ。シーズン最多本塁打は2年目の31本。彼を通じてメジャーのレベルを教えてもらった。

 ヤンキースタジアムでの満塁弾デビュー、左手首骨折、ワールドシリーズMVP…。最高の瞬間も目を覆うシーンも現地で目撃した。毎年楽しみにしていた松井取材。それがもうできないと思うと寂しい。

 ご苦労さま。今はただゆっくり休んでほしい。そしていつの日か、その経験を日本球界に還元してもらいたい。長嶋さんに注いでもらった愛情を持って「第2の松井」育成を。指導者としてのホームランを期待したい。

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2012年12月29日のニュース