イチロー 珍しく感傷的に「ただただ寂しい」

[ 2012年12月29日 06:00 ]

互いを刺激し合いながら歩んできたイチロー(右)と松井

松井秀喜引退

 ヤンキースのイチロー外野手(39)も松井の引退を惜しんだ。7月にマリナーズから松井がかつて在籍したヤ軍に移籍。伝統球団でのプレーの中で、松井の偉大さを肌で感じていた。

 「ヤンキースでプレーして、あらためて、松井選手が残してきた実績がいかに重く、難しいことであったかを知った」

 自らの色を前面に押し出すよりも、ヤ軍では調和が求められる。世界一の宿命を背負う中、7年間、レギュラーを張り続けた1年後輩を心から称えた。

 初めて松井の存在を知ったのは中学時代のある大会だった。当時、イチローは投手で、松井は捕手。そして愛工大名電時代の90年、松井が星稜高1年時に練習試合で対戦、言葉を交わした。

 テレビ局の対談ではお互いの野球観をぶつけ合った。03年オフ。松井が大リーグで対応すべく、まずは確実性を求めたことに、イチローは苦言を呈した。「何時間も話し込んだことがあったが、僕とはまったく違う思考で、とても興味深かった」。また、06年の第1回WBCへの参加、不参加については当初は2人で歩調を合わせるはずが、最終的にイチローだけが出場。この時ばかりは松井に対し、日本の野球ファンの一部から非難の声も上がり、この一件を境に2人の間に微妙な空気も流れたのは事実だ。

 それでも、イチローは言った。「中学生の時から存在を知る唯一のプロ野球選手がユニホームを脱ぐことが、ただただ寂しい」と。珍しく感傷的になったのは、松井から刺激を受け続けてきたからこそだった。

続きを表示

2012年12月29日のニュース