由規 マー君に「勝ちたい」 来季対決がモチベーションに

[ 2012年12月24日 06:00 ]

野球教室で熱弁を振るうヤクルト・由規

 田中さん、海を渡る前にもう一度僕と勝負してください――。ヤクルトの由規投手(23)が23日、地元・仙台で野球教室を行い、前日に将来的な大リーグ挑戦を表明した楽天・田中将大投手(24)との2年ぶりの投げ合いを熱望した。

 これまでの対戦成績は由規の1勝2敗。今季は右肩痛の影響で1軍登板がなかった161キロ右腕は日本ラストイヤーになるかもしれない田中との再戦を目標に復活を期す。

 由規の目は、心を躍らせプロ野球選手と接する少年たちと同じように輝いていた。「年の差はないのにもうメジャー挑戦か、という凄さです」と驚いたのは、前日の田中のメジャー挑戦発言。来季に復活を懸ける右腕にとっては、新たなモチベーションが加わった。

 「田中さんに勝って自信にして、ここまで来た。そういう状況なら勝って終わりたい。勝ちたい。挑戦者ですけど」

 由規はずっと田中の背中を追い掛けてきた。高校時代はともに怪物と騒がれた。06年夏の甲子園では対決こそ実現しなかったが、ツーショット写真をお願いしたほど。プロ入り後も09年から3年間、由規の「ホーム」でもあるKスタ宮城での交流戦で、毎年1度投げ合ってきた。

 初めて勝った10年6月13日の試合では初回の初球から39球連続で直球を投げ込み、試合後は「こんなに直球を続けたことはなかった」と振り返った。そして同年には自己最多の12勝をマークし、日本最速の161キロも記録。対戦成績は1勝2敗だが、3試合とも息詰まる投手戦を演じた。田中と投げ合うことで自信をつけてきた。

 しかし、この1年間で差は大きく開いた。侍ジャパンのエースにまで上り詰めた田中に対し、由規は昨季終盤に発症した右肩痛の影響でフォームを崩し、プロ入り後初の1軍登板なし。それでも懸命なリハビリを続け、来年2月1日のキャンプインでは「ブルペンに入れそう」という状態まで回復してきた。

 「今は投げたくてしょうがないけど慌てちゃいけない。体づくりも順調に来ている」と由規。来季、仙台での楽天戦は5月19、20日に組まれている。田中は早ければ来オフにもメジャー挑戦の可能性があり、最後の対決になるかもしれない。心の底から出た「勝ちたい」との言葉。悩める右腕のハートは確実に着火した。

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2012年12月24日のニュース