イチ流の心構え「難しいことに自分から立ち向かって」

[ 2012年12月24日 06:00 ]

チェックのネクタイとジーンズ姿でグラウンドに現れたヤンキース・イチロー(右から2人目)

 ヤンキースと新たに2年契約を結んだイチロー外野手(39)が23日、故郷の愛知県豊山町の豊山グラウンドで行われた「第17回イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式に出席。恒例のあいさつでは、自らの信念で決断することの大切さを子供たちに説いた。

 「ヤンキースに残ることは、今まで起きたことの中でも大きな決断だった。いくつか選択肢はあったけど、自分で決めたこと。僕が誇れるものがあるとすれば、難しい局面になった時に必ず自分で決めてきたことです」

 イチロー自身、今季は2つの大きな決断を下した。7月。自らトレードを志願し、01年からプレーしてきたマリナーズを離れた。そして、プロ生活で初めてFAとなったオフは、ヤ軍より高額なオファーを提示した球団もあったが、残留を選んだ。困難から逃げずに、立ち向かう勇気。それを伝えたかった。

 それはグラウンド上でも同じ。「誰も助けてはくれない。重圧から逃げようとするか、受けた上で打席やマウンドに立つのか。結果が失敗でも成功でも、その後に大きな違いが生まれる」。子供たちは夢中になって「イチ流の心構え」について聞き入った。

 この日は同大会出身者で初のプロ野球選手になった中日のルーキー田島が招待された。「田島が中日に入って、僕の一つの大きな夢をかなえてくれた」と後輩を称えたイチロー。そして「第二の田島」を目指す子供たちへ、世界一を狙う自身を重ねるように「難しいことに自分から立ち向かっていく姿勢があれば、野球はうまくなるし、人間として強くなっていく」と熱いメッセージを送った。

 ◆最近のイチロー杯での金言◆

 ☆06年 野球によるいじめの撲滅法を提案。「周りにいじめられている人がいたら“一緒に野球をやろうよ”と声を掛けてもらいたい」

 ☆07年 自身のプレーを子供がまねすることを止めないように、監督や保護者にお願い。「まねをしようとする時が一番成長する時。その姿勢を大事にしてほしい」

 ☆08年 WBC連覇、日本選手最多3085安打更新、9年連続200安打を公約。「胸を張って報告できるようにしたい。来年も前に進んでいきたい」とし有言実行。

 ☆09年 10年連続200安打を公約。「結果ではなくて過程で自分がどうあったかが凄く大事」

 ☆10年 野球ができる環境の整備を保護者にお願い。子供たちには「家の中では得られないもの、素晴らしいものを野球を通じて感じていると思います。そのことを友達に伝えていってほしい」。

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