日本ハム“計算ずく”の戦略…最初に示した資料が決め手に

[ 2012年12月10日 06:00 ]

大谷の心を動かした日本ハムの資料

 大谷の決心を最初に揺るがしたのが、11月10日の入団交渉で球団が大谷側に示した資料。「大谷翔平君 夢への道しるべ 日本スポーツにおける若年期海外進出の考察」と題した冊子はA4判25ページと別紙5枚にも及んだ。

 06年韓国プロ野球ドラフトで斗山の1位指名を拒否し、07年にレンジャーズとマイナー契約した左腕・南尹熙(ナム・ユンヒ)の実例を挙げ、韓国でもアマから直接、メジャー挑戦した選手で大リーグ昇格した例がないことを指摘。海外でプレーする選手が増えた日本サッカー界でも、Jリーグで技術を磨いてからの挑戦がほとんどというデータも添えた。

 日本ハムは9月中旬ごろから資料作成に動いた。元高校教諭でアマスポーツ界に顔が広い大渕隆スカウトディレクターが野球界だけでなく、各競技団体に話を聞いて回った。09年。同じ花巻東OBでメジャー挑戦を口にした菊池雄星(現西武)との面談前、大渕ディレクターは机を挟んだ相手との距離を事前に調べた。それによって資料のサイズをB5にするのかA4にするかの判断材料とした。大谷の両親が大リーグ志向でないことをつかんでいた球団は他にもあったが、日本ハムの周到な準備が入団にこぎ着けた。

 ▼日本ハム・山田正雄GM こんな長い1カ月は経験したことがない。今はうれしい。きょう来るまで、どういう決断をするか心配だった。

 ▼上田文雄・札幌市長 大谷翔平選手、入団おめでとう!よくぞ決意してくれました。ファイターズファンで埋め尽くされた札幌ドームで、大谷選手のプレーが見られる日を札幌市民とともに心待ちにしています。

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2012年12月10日のニュース