中畑監督 亡き妻に約束「来年1年、必ず燃え尽きる」

[ 2012年12月7日 06:00 ]

自宅玄関前で報道陣の質問に答えるDeNAの中畑監督

 5日に子宮頸(けい)がんのため最愛の妻・仁美さん(享年59)を亡くしたDeNA・中畑清監督(58)は6日、悲しみの一日を過ごした。この日は都内の自宅で報道陣に対応。指揮官は自らの進退が懸かる就任2年目の来季について、燃え尽きるまで戦うことを天国の夫人に約束したことを明かした。通夜は行わず、葬儀・告別式は10日に行われる。

 腫れて充血した両目が悲しみの大きさを物語る。弔問客が次々に訪れる中、中畑監督は気丈に報道陣にも対応した。

 「女房と添い寝しながら一晩過ごして、ちょっと寝させてもらいました。(仁美さんが)やっと背もたれがなく平らになれる姿勢で寝られた。今にも目を覚ましそうなくらい穏やかな表情です」

 闘病生活の最後の2カ月間は、ベッドを斜めにして完全には横になれない状態だった。11月下旬には担当医から同監督に「余命1週間」と告げられた。「自分が残っちゃいけない。女房がみとってくれると約束したのに、逆になった。こんなにつらいことはない」。絶望感に襲われる中、夫人は「生き抜きたい」「死にたくない」と口にして、必死に闘ったという。

 「頑張りすぎるぐらい頑張った。凄いパワーの持ち主。最後の最後まで諦めない。自分が野球でずっと選手に言ってきたのと同じ。それとダブって見えた」

 それが、夫人から最後に伝えられた無言のメッセージだった。CS進出を条件に自身の進退を懸けた来季は、結果を残すしかない。自宅に戻り、安らかに眠る仁美さんの顔を見て、あらためてその思いを強くした。「DeNAで来年1年、必ず燃え尽きる。そう約束した。やらないと尻を叩かれるからね」と言った。

 5年連続最下位のチームを変えるのは容易ではない。今季、真っ先に取り組んだ意識改革。最後まで諦めずに戦い抜く姿勢を求め、チーム内に浸透させた。しかし、勝利には結びつかなかった。それでも追求していくものは変わらない。それを夫人が示してくれた。「人生の起点、起点で、かあちゃんのひと言が迷いを消してくれた。本当はだらしない、弱い男だから強いパートナーで良かった。迷わず生きてこられたのは、かあちゃんのおかげ」。夫人に多くの勝ち試合を見せることができなかった悔しさは、来季晴らすしかない。

 「いい女でした。これから先もずっと一緒です。来年も一緒に戦ってくれるでしょう」。中畑監督は悲しみをこらえて、そして前を向いた。

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2012年12月7日のニュース