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小久保 「今だから言える」2000安打は「神の指」のおかげ

5月22日の広島戦で通算1999本目の安打を放つが腰の違和感は限界に

野球人 ソフトバンク・小久保(上)

 5月24日早朝、小久保は福岡市内の自宅で目を覚ました。早起きはアラームのせいではなかった。腰に激痛を感じた。2日前の22日の広島戦(ヤフードーム)で今村から通算1999安打を放った。だが、抱えていた違和感は3打数3三振だった23日の試合で限界を迎えていた。歩くのでさえ、3分間が精いっぱいだった。

 「起きた時、とても野球をできる状況ではなかった。ただ、2000本を期待し、チケットを買いに走ってくれた人のことを思ったら、出ないわけにはいかなかった」

 一振りでもよかった。25日の阪神戦(同)の強行出場にこだわり、通常通り球場入りした。待っていたのは秋山監督だった。「その体じゃ無理だ。そんなに甘くない」。KO寸前のボクサーのようにタオルが投げられ、休養勧告を受け入れるしかなかった。

 しかし、ただでは転ばない性格だ。帽子のひさしに書く言葉は「前後裁断」。江戸時代、たくあん漬けを広めた沢庵和尚が「過去も未来も裁ち切り、今に集中すること」を説いた言葉だ。小休止することが決まった次の瞬間、頭の中に思い浮かべていたのは「これでオフの講演のネタが増えるわい。残り1本で抹消される選手なんて、世界中見渡してもいないんちゃうかな」。前を向くことは事態を好転させる。

 「今だから言える。あのヘルニアがなければ、あの出会いもなかったよ」

 椎間板ヘルニアのニュースは日本列島を駆け巡った。小久保の元には全国の腰痛治療の権威から連絡が舞い込んだ。そこに「神の指」と呼ばれる人物がいた。治療を受けるには数カ月待ちは当たり前の指圧師が福岡に3日間、治療に来てくれた。「信じろと言っても難しいやろうけど、本当に右手の親指一本だけで痛みが消えた。向こうに迷惑掛かるから名前は出せないけどね」。強力な鎮痛剤、ハリ治療でも取ることのできなかった痛み。手術さえ、頭をよぎったほどの激痛は、たった3日で消えた。

 前半戦の復帰は絶望視されていた。だが、1カ月後の6月24日の日本ハム戦(ヤフードーム)で復帰。4回にウルフから中前打を放ち、史上41人目の金字塔を打ち立てた。「まだまだ、野球をやれということやな」。笑顔で大記録達成を喜んだ日から51日後。その会見は行われた。「現役引退」。あまりに突然の出来事だったが、その裏で40歳は1人、苦悩を続けていた。

[ 2012年11月27日 10:40 ]

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