涌井 先発復帰へ 抑え経験で進化「悪く言えば、もっとわがままに」

[ 2012年11月25日 07:13 ]

2軍での苦しみ、抑えの経験が涌井の来季への糧になる

 謹慎生活が明け、涌井は6月22日のオリックス戦(大宮)で1軍に復帰した。まだブルペンでの調整方法を模索していた中での昇格だった。だが、復帰した3連戦でいきなりピンチに遭遇した。

 初の3連投となった同24日。「最初はブルペンで球数を多く投げなきゃと思っていた。でも、あの時は1、2試合目は良かったけど3試合目は凄い(体が)張って。投げられない、やばいな、と思ってブルペンで30球くらい投げてしまった」。

 焦りから先発時と同じ球数を投げ込んでいた。最悪の状態だったが、2点リードの9回に登板し、1点差まで追い上げられながらも何とかセーブを挙げた。

 「失敗はしなかったけど球が全然いってなくて。そしたら翌日“ブルペンで投げすぎたんじゃない?”って長田さんとかに言われて。そこから少しずつ球数を減らすようにしていった」。前半戦終盤には登板直前に12、13球で肩をつくるスタイルを確立した。

 杉本投手コーチは証言する。「先発の時は自分のことで精いっぱいなことも多かったけど、抑えになって変わった。チームの勝ちや先発の白星をつけなきゃいけないから責任感が増した」。全試合に同行し、ほぼ毎日肩をつくる。その中で結果を残す。先発とは全く違う環境を経験し、孤高のエースにチーム優先の意識が芽生えた。

 涌井の復調とともにチームも息を吹き返した。最下位から怒とうの巻き返しで史上最大の借金9(首位と11ゲーム差)からの逆転Vにあと一歩と迫った。涌井もリーグ2位の30セーブをマークした。

 来季は先発に復帰する。「よく言えば、自分を出して、悪く言えば、もっとわがままになろうと思う」。経験したことのない苦しい時を乗り越えた先に見つけた答えは「自分を信じる」ことだった。

 意外なことに、これまで捕手のサインにほとんど首を振ったことがないという。「わがままというのは(配球の)組み立てを全部ギン(炭谷)任せじゃなくて、たまには1試合自分が組み立てたり。それはさすがに無理かもしれないけど、そろそろ(自分を)出していいんじゃないかと」。首を振る勇気が来季のテーマになる。

 「悔いのない投球をしたい」。今季の登場曲に使ったミスチルの「Tomorrow never knows」で桜井和寿は「勝利も敗北もないまま 孤独なレースは続いてく」と歌ったが、来季の涌井には、勝利と敗北があって、仲間とともに戦うレースが待っている。

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