ジョージア魂賞年間大賞に坂本 乾坤一擲のビッグプレーを評価

[ 2012年11月23日 10:13 ]

同点のピンチを救った魂の遊撃守備

 勝利に最も貢献したプレーをした選手を表彰する「ジョージア魂賞」の年間大賞は巨人の坂本に決まった。スポーツライターの二宮清純氏が書く、チームへの忠誠心が生んだビッグプレーとは。

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 「スタメン表に迷わず衣笠祥雄と書き込むことができる。これだけで監督としてはどれほど楽だったか」

 広島の元監督・古葉竹識がこう語ったのは、ジョージア魂賞の選考委員でもある衣笠祥雄が連続試合出場の「世界記録」を達成した直後のことだ。

 2012年度のジョージア魂賞年間大賞に選ばれた巨人・坂本勇人は今季、3年連続で全試合出場を果たした。ショートという激務を余儀なくされるポジションにおいて、3年連続全試合出場を果たした選手は、90年代以降では松井稼頭央、井端弘和、鳥谷敬の3人しかいない。これはもっとクローズアップされてもいい立派な記録だと考える。

 「与えられた役割をまっとうすること」。ジョージア魂賞のコンセプトに、以上の文言がある。レギュラーとして「与えられた役割」とは何か。それは全試合に出場することである。しかし、それだけでは、まだ足りない。周囲を納得させるだけの成績を残して初めて、その選手は「余人をもって代え難い」と認められる。

 今季の坂本はプロ入り6年目にして初めてタイトルを獲得した。最終戦で猛打賞をマークしての最多安打(173本、長野久義とタイ)。4月後半からは3番に定着し、コンスタントにヒットを放ち続けた。打率(3割1分1厘)、盗塁数(16)、出塁率(3割5分9厘)も自己最高だった。

 そして守備だ。忘れもしない七夕の夜、東京ドームでの阪神戦で23歳は身を投げ出して二遊間の打球に飛びつき、絶体絶命のピンチをしのいだ。抜けていれば同点となり、試合はどう転んだかわからない。チームへの忠誠心が生んだ乾坤一擲のビッグプレー。これが評価され、坂本は7月下期のジョージア魂賞を受賞した。「(優勝に)貢献したいと思って一生懸命やってきた」。リーグ優勝の際に坂本は晴れやかな表情で語った。

 ポストシーズンゲームでも14安打5打点(クライマックスシリーズと日本シリーズ)と活躍し、大舞台に強いことを証明した。アジアシリーズではMVPに選ばれ、原辰徳監督から「若きリーダーとしてMVPをもらえた。これも財産」と高い評価を得た。

 来春にはWBCが開催される。日本が誇る「若き侍大将」の世界デビューが今から待ち遠しい。

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2012年11月23日のニュース