宮本を変えた仲人の突然の死 天国に約束した「打ちます」

[ 2012年11月21日 11:49 ]

5月4日の広島戦で2000安打を達成した宮本

野球人 ヤクルト・宮本(中―2)

 もともと、2000安打を打てると思ってはいなかった。「強いこだわりがなくてね」。そんな宮本の心を変えたのは、仲人の突然の死だった。昨年1月28日。日本総業代表取締役の樋口丸人氏(享年61)が不慮の事故で亡くなった。「大学(同大)の頃から知っていて…。“2000本まで頑張ってほしい”とずっと言われていました。その方が突如…」。

 葬儀に参列した宮本は誓った。「打ちます」。偉業達成の2日後。都内の樋口宅を訪れ、妻・由季さん(57)に達成時に使用したバットを手渡した。樋口氏との約束を果たし、宮本は深々と頭を下げた。由季さんは言う。「貴重な物を見せに来ていただいただけかと思いました。ところが主人の所に置きたいと。驚きました。主人が生きていたらどんなに喜んだことでしょう」。由季さんにも伏せていたサプライズ。今、そのバットは樋口氏の仏壇の横にそっと置かれている。

 都内の自宅のリビング。1000安打、1500安打に続き、2000安打と3つ目の記念球が飾られている。プロで積み重ねてきた歴史である。プロ18年目で衰えも感じ始めている。「反応がちょっとね。狙っていた球は大丈夫なんだけど、外れた時に対応ができない時が出てきた」。それでもヤクルトの中心選手として欠かせない存在だ。それを証明したのが、1勝1敗で迎えた中日とのCSファーストステージ第3戦(ナゴヤドーム)。41歳の大ベテランは足でも魅せた。

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2012年11月21日のニュース