楽天・嶋 労組選手会新会長最有力に 12・6正式決定へ

[ 2012年11月18日 06:00 ]

打撃練習する嶋

 労組・日本プロ野球選手会(新井貴浩会長=阪神)の次期会長に楽天の嶋基宏捕手(27)の就任が最有力となっていることが17日、分かった。12月6日の選手会総会で役員改選が行われ、正式に決定する。嶋は昨年、東日本大震災の被災球団の選手会長として球界を挙げた復興への取り組みに尽力。正式決定すればパ・リーグ球団からは初の就任で、4期務めた新井会長の後を引き継ぐ。

 8代目にして初めてパの球団から選手会長が誕生するのは、自然の流れだった。08年12月から4期務めてきた新井会長の後任の人選。「次の会長はパ・リーグから」という声が各球団の選手たちから聞かれる中で、最有力候補として名前が挙がったのが嶋だった。

 嶋は昨年、東日本大震災による開幕延期問題で球界が揺れる中、被災球団の選手会長として復興への取り組みで常に先頭に立ってきた。4月2日、復興支援のために行われた慈善試合。試合前のスピーチに立つと「見せましょう、野球の底力を」と熱い口調で語りかけ、被災者と球界の心を一つにして復興への歩みを支えてきた。楽天だけでなく、他球団の選手からの人望も厚い。国学院大から06年の大学・社会人ドラフト3巡目で楽天入りし、今年でプロ6年目の27歳。歴代会長7人と比べて最年少での就任となるが、次期会長としてうってつけの人材だ。

 85年に都労委から正式に労組・選手会として認定を受けて27年。かつて岡田会長(前オリックス監督)が在任中の94年にオリックスへ移籍したことはあるが、パ球団からの会長就任となれば史上初となる。新井会長の後任人事を進める中、自然発生的に出てきた「次はパの球団から」という選手たちの声は、今まで以上にセ、パ12球団一体となって取り組んでいこうとの思いの表れといえる。

 これまでFA制度の導入や04年の球界再編問題など、選手会は球界の改革に大きな功績を残してきた。4期務めた新井会長は改革の一方、昨年の開幕延期問題やWBC参加問題でファンの声を大切にしてきた。あらゆる問題に際してファンの声に耳を傾け、ファンのために選手が身を切る覚悟で職務を全う。「ファンとともに歩む」。12月6日の選手会総会で正式に就任が決まれば、その路線を嶋も引き継ぐ。見せましょう、野球の底力を――。その言葉を第8代選手会長として実行することになる。

 ▽選手会長 選手会長の任期は1年。これまで古田会長が最長の7期を務め、新井会長がそれに次ぐ4期。他の5会長は3期で交代している。改選は毎年の選手会総会に出席した各球団の役員による承認で決定。会長交代の場合は後任候補を総会までに絞り込み、総会に諮って決まる。

 ▽楽天・嶋のあいさつVTR 東日本大震災の復興支援を目的とした11年4月2日の日本ハムとの慈善試合(札幌ドーム)の試合前に「見せましょう、野球の底力を。見せましょう、野球選手の底力を。見せましょう、野球ファンの底力を」とあいさつ。また、震災から50日となった4月30日の本拠地開幕戦・オリックス戦の試合後には、被災したファンを前に「絶対に見せましょう、東北の底力を」と感動的なスピーチを行った。

 ◆嶋 基宏(しま・もとひろ)1984年(昭59)12月13日、岐阜県生まれの27歳。中京大中京から国学院大を経て、06年の大学・社会人ドラフト3巡目で楽天に入団。当時の野村監督に重用され1年目から125試合に出場した。4年目の10年にはゴールデングラブ賞とベストナインを受賞し、オフにはチームの選手会長に就任した。1メートル79、82キロ、右投げ右打ち。

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