“頭脳”橋上戦略コーチ 足攻は「いろんな効果がある」

[ 2012年11月17日 06:00 ]

<日本・キューバ>7回無死、右中間への当たりで角中は好走塁で二塁を陥れる

侍ジャパンマッチ2012 日本代表2―0キューバ代表

(11月16日 ヤフーD)
 走ってくる。その意識を植え付けたことが何より大きかった。盗塁にエンドラン、そして守備のスキを突く走塁。意識付けの効果が侍ジャパンの点となって表れたのが7回だ。

 先頭の角中の一打は右中間へ。センター寄りの打球なのに捕ったのは右翼手・ベルだった。定位置なら中堅手が処理する打球だ。「狙っていた。右中間が空いてたし、センターかと思ったらライトが捕りに行ったので“行ける”と」。右翼から中堅方向へ打球を追ったベルには、一塁を蹴った走者は死角で見えない。処理も返球も遅れ、角中は鋭く二塁を陥れた。

 キューバは5回から極端な外野守備陣形を取っていた。右打者なら右寄りに、左打者の場合は左寄りに。「1点差ゲームだから長打警戒で内角へ配球をやめたのか、守備の意図は分からない。ただ、守備がかなり偏ってたね」。橋上戦略コーチはそう振り返った。

 この試合、序盤から布石を打っていた。初回1死一塁から、大島が坂本の初球に二盗。「ノーサイン。自分で行った。あの投手はモーションが大きいと言われてた」。2回無死一塁でも角中の4球目にエンドランを仕掛けた。結果は遊ゴロ併殺だったが、山本監督が掲げる「スモール・ボール」の実践。走ってくる――その意識が相手バッテリー、相手守備に重圧を与える。

 炭谷が送った7回1死三塁。代打・井端の二ゴロをJ・フェルナンデスがはじいたのは、三塁走者・角中を過剰に警戒した結果だ。「焦らせる。打者に集中させない。(相手に足を意識させれば)いろんな効果がある」。ニヤリと笑った橋上コーチは「キューバのデータは台湾戦と大きく変わらなかった」とも続けた。

 得たデータよりも与えたデータ。それは来年3月の本番までに、キューバ選手たちの深層心理へ深く浸透していく。

 ▼加藤良三コミッショナー 投手陣や炭谷の本塁打など底力を示した。キューバもこんなもんじゃないと思うけど、日本の野球は層が厚いなと感じた。山本監督の初陣でいい船出になった。

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2012年11月17日のニュース