栗山監督 最後は悔し涙「敗者は美談にしかならない」

[ 2012年11月4日 06:00 ]

<巨・日>表彰式を終えハグする巨人・原監督(左)と日本ハム・栗山監督

日本シリーズ第6戦 日本ハム3―4巨人

(11月3日 東京D)
 真っすぐに勝者の儀式を見つめた。36年前からの憧れ、原監督が胴上げされている。「なぜ、俺が宙を舞っていないんだろう。どうして勝たせてやれなかったのか」。日本ハム・栗山監督はこみ上げるものを抑えながら、三塁ベンチ前に立っていた。

 「勝者にしか歴史はつくれない。敗者は美談にしかならない。選手にもファンにも本当に申し訳なくて悔しい。こんな悔しさは何十年ぶり。夢じゃ駄目。勝たなきゃ」

 昨年11月3日に監督就任を受諾してからちょうど1年。名将・三原脩監督の意思を継ぐ背番号80を背負い、開幕から「あすなき戦い」を選手たちに求めた。やるべきことをやり尽くす野球は今季153試合目でも変わらない。延長15回制にもかかわらず9回に野手16人を使い果たし、そして敗れた。全てを出し尽くした選手たちと抱擁。「もう1回、もう1試合やらせたかった」。その目は涙でいっぱいだった。

 表彰式後、原監督に声を掛けられた。かつて三原監督も初のシリーズ(54年・西鉄)は中日に敗れた。野球の神様はまだ足りないと言っている。「終わった瞬間、悔しさで来年のことばかり考えた」。悔し涙ではない。明日の日本一へ道しるべとなる涙だった。

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2012年11月4日のニュース