先発か、代打か…阿部 走ることは難しい状態も強行辞さず

[ 2012年11月3日 06:00 ]

日本シリーズ第6戦出場へ意欲を見せる巨人・阿部

 直前まで諦めない――。日本ハムとの日本シリーズ第3戦(札幌ドーム)で右膝裏の違和感を訴え、2試合連続欠場中の巨人・阿部慎之助捕手(33)は、2日の東京ドームでの全体練習に姿を現さず、治療に専念した。3日の第6戦(東京ドーム)もスタメン出場が危ぶまれる状況。3勝2敗と3年ぶりの日本一に王手をかけて迎える最終決戦。奇跡の回復を信じて強行先発を目指す。

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 自分のやるべきことは分かっている。だから阿部は澄んだ目で前を見据えた。

 「きょうは練習に行かず、病院に行って治療に専念する。検査とかじゃないよ。できる限りのことをして、準備するだけです」

 帰京便を待つ新千歳空港で、可能な限り捕手としてスタメン出場する意気込みを語った。帰京後はかかりつけの治療院へ向かい、右膝の回復を祈った。

 第3戦で右膝裏の違和感を訴え、5回の守備から途中交代した。第4戦はベンチ外。第5戦は試合前に打撃練習を通常通り行い、ベンチにも入ったが試合には出なかった。打撃には支障がないが、満足に走ることは難しい状態。それでも試合中は先発した内海のキャッチボール相手を買って出るなどして、チームを陰で支えた。

 だが現時点でスタメン出場の可能性は見えていない。秦バッテリーコーチは「そりゃあ出てほしい。みんながそれを願っている。ただ、多分捕手は無理だと思う」と話し、岡崎ヘッドコーチは「捕手で出るか、出ないか。一塁はないと思う。捕手ができないということは、一塁もできない」と説明した。原監督は「まあ1日ありますから」と深く言及はしなかったが、果たして強行先発か、代打での一振りにかけるのか。3日の状態を見て判断するが、試合直前までスタメン出場の可能性を探る方針だ。

 思い出されるのは西武と争った08年の日本シリーズだ。阿部はリーグ連覇を決めた10月10日のヤクルト戦(神宮)で右肩を関節挫傷。懸命のリハビリで打撃だけは間に合わせたが、敵地でのDHか代打での出場に限定された。チームは今回と同じ3勝2敗で王手をかけて本拠地に戻ったが、そこからまさかの連敗。手負いの状態で1本塁打を含む打率・400と奮闘した阿部だが、最終戦は出番のないまま終戦を迎えた。今季は首位打者、打点王の2冠に輝き、4番で、正捕手で、主将という扇の要。存在感は当時以上で、王手をかけた状況でも不可欠な大黒柱なのは間違いない。

 前日の練習後、患部の状態を聞かれた阿部は「最高でーす!!」とお立ち台での決めぜりふを笑顔で絶叫し、周囲を和ませた。札幌ドームのベンチ裏に響いたあのフレーズを、今度は東京ドームのど真ん中で。チームも、ファンも、その瞬間を待っている。

 ▽08年日本シリーズ(西武―巨人) 巨人が3勝2敗と王手をかけ、本拠地東京ドームへ。だが第6戦は西武の帆足―岸のリレーの前に1―4と敗れ、第7戦も2―3で逆転負けし日本一を逃した。シーズン中に負傷した右肩関節挫傷をおして第4、5戦でDH出場した阿部は、最後の2試合はベンチスタート。第6戦は代打で8回に二塁打を放ったが得点に結びつかず、第7戦は出場機会がないまま終わった。

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2012年11月3日のニュース