日本S史上初!長野 スミ1先頭V弾 守備でも中ゴロ完成

[ 2012年10月29日 06:00 ]

<巨・日>初回、巨人の先頭打者・長野は右中間に先制ソロを放ち舌を出しておどける

日本シリーズ第2戦 巨人1―0日本ハム

(10月28日 東京D)
 最初の一振りで決めた。初回、巨人の先頭打者の長野は、武田勝の失投を逃さなかった。2ボール1ストライクからの4球目。「いい投手なので低めを振らされないように、目付けを上げていた」。真ん中付近の132キロを打ち抜いた。打球は右中間席へ。日本シリーズ史上初の先頭打者弾による「スミ1勝利」を導く電光石火の一撃だった。

 「しっかり振れた。完璧でした。ファンの皆さんの声援のおかげで届いてくれたと思う。まぐれです」。殊勝に振り返ったが、スミ1勝利自体、シリーズ史上2度目。前回は94年第2戦で、巨人の原監督が唯一の打点を挙げている。第1戦を先発野手全員の14安打8得点で大勝発進した打線は、この日は散発5安打と沈黙しただけに、まさに値千金の一発となった。

 初戦の中前打に続き、またも初回先頭の打席で快音を響かせた。4月下旬から任された1番で、長野が初回先頭で安打した試合は、23勝2敗1分けと圧倒的な勝率を誇った。「1番の難しさは変わらないです」と試合後も繰り返したが、リーグ最多安打(173)を同僚の坂本と分け合った打力で重量打線を引っ張ってきた。岡崎ヘッドコーチは「うちで一番安打を打つ打者。簡単に凡退してもらっては士気にも関わる」と話す。この日は二の矢が続かなかったが、チームを勢い付ける活力源が、1番・長野の第1打席の快音なのだ。

 シリーズは初出場だが「CSであれだけ苦しい思いをしたので。楽しくできてます」。3連敗で後がなくなったCSファイナルS第4戦。9月に新調したばかりの薄いアーモンド色のグラブをやめ、今季3個目となるオレンジ色の新グラブを投入した。そこからチームは5連勝。この日も4回に中ゴロを完成させる好守を見せ、すっかりラッキーアイテムとなった。

 「相手も凄くいいチームだし、どちらに転んでもおかしくなかった。あす移動ですが、しっかり調整し、第3戦もしっかり戦いたい」と表情を引き締めた斬り込み隊長。日本一へのあと2勝も、背番号7が切り開く。

 ▽前回の巨人の日本シリーズ「スミ1」勝利 94年10月23日、西武との第2戦(東京ドーム)。初回2死二塁で4番・原が、工藤のスライダーを左前へ適時打。この試合唯一の得点を叩き出した。「まさかねえ、あの1点で勝てると思ってなかったから…。ホント、良かったよ」と原。投げては槙原が4安打完封。長嶋監督にとっては第1次政権の77年以来、17年ぶりのシリーズ勝利だった。

 ≪本塁打じゃなくても「スミ1」2度目≫巨人は初回長野の先頭打者本塁打による1点を守り切って勝利。シリーズの1―0完封試合は07年第5戦の中日以来14度目。うち本塁打が決勝点となったのは97年第1戦のヤクルト(打者テータム)以来6度目で、巨人では70年第1戦(打者黒江)に次いで42年ぶり2度目になる。ただしこれまでの本塁打は全て2回以降に飛び出しており、初回先頭打者弾による「スミ1勝利」はシリーズ史上初めてだ。また本塁打に限らず、初回に挙げた1点のみの完封勝利も94年第2戦に巨人が原の適時安打で記録したのがあるだけ。シリーズ2度目の珍しいケースになった。

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