あこがれ原監督に…栗山監督「うるっときた」けど勝負は別

[ 2012年10月27日 06:00 ]

監督会議終了後、ガッチリ握手をする日本ハム・栗山監督(左)と巨人・原監督

 まさかこんな日が来るとは思っていなかった。日本一をかけて巨人と戦う日本シリーズ。監督会議を終えると、日本ハム・栗山監督は敵将・原監督に肩を叩かれてこう言われた。

 「夢のようだな」――。そのまま交わした固い握手。感動と感激が胸を突き、その瞬間に「うるっときた」という。

 思えば、出会いは36年前だった。中学3年(1976年)の時、東海大相模の練習を見学。練習後、学生服姿で現れた高校3年の原監督から声を掛けられた。「受験生か?頑張れよ」。当時は高校球界のスーパースター。右手にバッグ、左手にファンから贈られたプレゼントを抱えていたのを「今でも覚えてる。うわー、原さんだ、と。後光が差していた」。そんな雲の上だった人と、日本最高の舞台で監督同士で相まみえるのだ。

 「でも、個人的な思いは別。(監督会議後に原監督から言われた)その言葉は自 分の中にとどめて戦いたい」。熱い思いを胸に、戦略はもう頭の中にある。戦術を手本としている名将・三原脩監督は第2、4戦と偶数の試合を重視したが「自分の中では先手必勝。先に優位に立てば、ゆとりが持てる。力が上なら(第2戦重視の)負けない形だけど、1戦目がかなり意味を持つ」。中日とのCSファイナルSで3連敗から3連勝した勢いのある巨人を、エース吉川で止める。バッテリーミーティングでは「素直に、伸び伸び、悔いないようにやろう」と訓示した。

 プロ入り後、原監督とは選手、取材者の立場で親交を深めてきた。コーチとして誘われるほど信頼も厚い。そんな原監督に以前、東京ドームの監督室に招き入れられた。歴代監督の言葉が添えられたサイン色紙が並ぶのを見て「こんな言葉に背中を押されてグラウンドに立つのか」と感激。今、札幌ドームの監督室には巨人歴代監督の一人、三原氏直筆の言葉「日々新たなり」がプリントされた袱紗(ふくさ)を飾っている。「シーズン1位で“勝たなければ”としびれたCSとは違う。シリーズは純粋に戦える」

 栗山監督は27日、原監督の言葉を心の奥にしまってタクトを振る。

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2012年10月27日のニュース