今CS両軍唯一の猛打賞!村田 男弾「胃がやられそうだった」

[ 2012年10月23日 06:00 ]

<巨・中>5回無死、中越えソロを放った巨人・村田(右)は出迎えるナインと笑顔でハイタッチ

セ・リーグCSファイナルS第6戦 巨人4―2中日

(10月22日 東京D)
肌がひりつくような緊張感が、巨人・村田の本能に火をつけた。先頭の5回、1ボールから山井が投じた2球目を捉えた。「カウントを取りにくる。ここはチャンスだし強引にでも」。外角へのスライダーを豪快に叩き、日本シリーズへの懸け橋となるアーチがバックスクリーン左へ舞い降りた。試合を大きく左右する今シリーズ2本目の本塁打だった。

 「次の1点が大事だと思っていた。長打が出れば一気にいけるかなと。うれしかったし、頑張って良かった」

 日本一になりたい。その一心で横浜と決別。FA宣言で巨人に飛び込んだ。覚悟の上だったが、短期決戦の緊張感は想像以上だった。「胃がやられそうだった。こんなに深呼吸しながら野球をしたこともない」。自身も最初の2試合は無安打と最悪のスタートだった。ただ、そんな極限の空気こそ、求めていたものでもあった。2回の左前打、3回の左翼線二塁打と合わせ3安打。猛打賞は今シリーズ両軍通じてただ一人となった。9回は最後の打者・荒木の三ゴロをさばき「守備は良かったし、最後に球が飛んできてちょっとうれしかった」とウイニングボールを一塁手へ転送した。

 ポストシーズンとは無縁で、球場に足を運んだのも07年アジアシリーズ、中日―韓国SK(東京ドーム)のゲスト解説だけ。「少年時代は自分の野球で手いっぱいで、プロはほとんど見なかった」という村田は、当時中学2年生だった10・8決戦も全く記憶にない。ただ、試合前に同戦で村田真一打撃コーチが本塁打したと聞くと「じゃあ、きょうは修一さんも頑張りましょう」と不敵に笑った。試行錯誤の末たどり着いた07年に初の本塁打王を獲得した当時の打撃フォーム。左足を真上に上げることで、体重を余すことなく軸足の右足に乗せ、太いかいなで放物線を描いてみせた。

 チームトップの打率・294、2本塁打しながらMVPは石井に譲ったが、「何でもいいです。とにかく勝って良かった」と大きく息をついた。「日本一になりたい。緊張感はあると思うが、思い切ってバットを振れれば巨人に来て良かったと思えるはず」。負けられない戦いは、日本シリーズに続く。再び破壊力を増した右の大砲は、誰よりも日本一という頂点に飢えている。

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2012年10月23日のニュース