石井渋くド派手打 プレーオフ、CS史上初の代打サヨナラ

[ 2012年10月22日 06:00 ]

<巨・中>9回、代打石井(左から2人目)がサヨナラ打を放つ

セ・リーグ クライマックスシリーズ 巨人3-2中日

(10月21日 東京D)
 右と左、巨人は2枚の「ジョーカー」が試合を決めた。同点の9回、まずは先頭で代打・矢野が岩瀬から中前打。その後1死満塁とすると、最後は左の切り札・石井が三塁後方に打球を落とした。プレーオフ、CSでは初の代打サヨナラ打となった。

 「みんながつないでくれたので、何とかしてやろうと思っていた。札幌に行けるかもしれない。とにかく勝つことしか考えていません」。お立ち台では早口すぎて聞き取れないほど、石井は興奮を隠せなかった。

 通算1914安打のベテラン・谷の「代打の代打」で5球連続の直球を詰まりながらも左前へ。「フォークが来たらやられていたかもしれない。谷さんの代わりだし、監督の決断だし。重圧はあったが自分がやるしかなかった」と開き直った。

 昨年のこの時期は西武から戦力外通告を受け、トライアウトへ向け練習を始めたところだった。「拾ってくれた巨人に恩返ししたい」。レギュラーシーズンでは驚異の代打率・405を残し、79年平田薫の同・400を抜き、球団記録を打ち立てた。CSは西武時代にも通算打率・529を残した。横浜、西武と渡り歩いた球団で計3度の日本一を知る男の勝負強さは大きな武器となる。

 勝負強さなら、矢野も負けていない。今季レギュラーシーズン最終戦となった7日のDeNA戦(東京ドーム)では代打でサヨナラ本塁打。「僕が出れば尚広さん(鈴木)が代走に出て、相手は重圧になる。サヨナラの可能性が高いと思った」と、岩瀬の初球を中前へはじき返した。こちらも代打率は・313。開幕直前に左足甲のリスフランじん帯損傷で出遅れたが、12日の優勝祝賀会で渡辺恒雄会長から「最後にサヨナラ弾とは。一巻の終わりかと思ったら不死鳥のようによみがえった」と絶賛された不屈の魂が光った。

 「見ている限り、流れはきのうから傾いてきている」とうなずく石井。2枚のジョーカーは、22日の最終戦もベンチ裏で牙を研ぎ、出番を待つ。そして決める。

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2012年10月22日のニュース