阿部 巨人逆転突破へ目覚めの2安打2打点 (1/2ページ)

[ 2012年10月21日 06:00 ]

<巨・中>8回1死一、二塁、阿部は左前適時打を放つ

CSファイナルS第4戦 巨人3-1中日

(10月21日 東京D)
 主将が、2冠王が意地を見せた。セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(6試合制)は20日に第4戦を行い、王手をかけられた巨人が3―1で中日に勝利。アドバンテージ1勝を含めて2勝3敗と踏みとどまった。徹底マークに遭っていた阿部慎之助捕手(33)が3回に今シリーズ初打点を挙げると、8回にも貴重な適時打。崖っ縁で目覚めた4番のバットとともに、リーグ王者が逆襲を図る。

 やはり阿部には笑顔が似合う。後がなくなった4試合目にして、本拠地に響いた勝利の凱歌。阿部は「また、あした野球ができるので思い切ってやりたいと思います」と勝ちどきを上げた。

 不振にあえいでいた阿部のバットから快音が響いたのは3回だ。坂本の適時二塁打で先制し、なお1死二塁。川上の初球シュートを捉え、左前に運んだ。CS15打席目での初打点。そして、8回にはシリーズの流れを変えるかもしれない大きな一打が飛び出した。

 1点リードの1死一、二塁。マウンドには左殺しの天敵・小林正がいた。前日も三ゴロに打ち取られた変則横手左腕には、今CSも含め通算26打数1安打(打率・038)で0打点だった。橋上戦略コーチの助言を頭に入れた。「横手投げだと意識しろ。重力の影響が違うから」。浮き上がってくる軌道に対し、ボールの下を叩き、打ち上げるケースが多かった。そこで「球の上っ面を叩こうと」とイメージした。初球は外角低めのスライダー。しっかり踏み込んでライナーで左前に運んだ。小林正から放った4年ぶりの安打だった。

 「(ここ3試合)自分が1本打っていれば、という試合だった」。CSではここまで13打数2安打。2安打は走者のない場面で、得点圏は3度凡退していた。「4番が打てば勝つし、打たなきゃ負ける」と球界の格言も口にする男は責任を背負い込んだ。そして動いた。試合前、自ら集合をかけ選手ミーティングを開いた。「もう負けられない状況。いい意味で開き直り、あすも野球ができるように何とか勝とう」。わずか1分ほどだが、結束を呼び掛けた。重圧の中で勝利に導く有言実行の2打点となった。

 「もう少し打線が活発にならないといけない」と原監督は6安打の打線には、なお注文をつけた。徳俵に足をかけた状況も変わりない。それでも2冠王の阿部が復調したことは大きい。「難しい中で勝てたのはあすにつながる。やるしかない」。主将は言葉に力を込めた。

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