Aロッドの代打イバネス 同点弾&サヨナラ王手弾!

[ 2012年10月12日 06:00 ]

<ヤンキース・オリオールズ>延長12回、2打席連発のサヨナラ本塁打を放ったイバネス(27)を本塁上、満面の笑みで迎えるイチローらヤンキース・ナイン

ア・リーグ地区シリーズ第3戦 ヤンキース3―2オリオールズ

(10月10日 ニューヨーク)
 ヤンキースが劇的なサヨナラ勝ちで地区シリーズ突破へ王手をかけた。10日(日本時間11日)のオリオールズとの第3戦で、ラウル・イバネス外野手(40)が値千金の2本塁打を放った。9回にメジャーを代表する強打者アレックス・ロドリゲス内野手(37)の代打で出場して同点ソロを打ったのに続き、延長12回にはサヨナラ弾。ポストシーズンで途中出場の選手が2本塁打を放つのは史上初の快挙となった。また先発した黒田博樹投手(37)は8回1/3を5安打2失点で勝利に貢献した。
【試合結果 プレーオフ】

 ナインが迎える本塁手前。いかついスキンヘッドの40歳が、ようやく感情を解き放つ。イバネスは、ヘルメットを投げて歓喜の輪に飛び込んだ。 「最後まで何が起きているのか分からず、夢のようだった」

 ヤンキースタジアムがどよめきに包まれたのは1点を追う9回1死。3番ロドリゲスに代打が送られたのだ。しかし、イバネスはオリオールズの守護神J・ジョンソンから同点弾を放ち、どよめきを大歓声に変えた。そして延長12回。今度は左腕マティスの初球を右越えに運ぶサヨナラ弾だ。「ロドリゲスは最高の打者の一人。それは変わらないよ」と控えめに話した。

 実は97年に、オリックスがイバネスの獲得に動いていた。当時の仰木監督がプエルトリコのウインターリーグを視察した際、その打撃にほれ込んだ。「パワーに加えて確実性も高そう」と絶賛し、一緒に屋台のピザも食べたほど。日本への移籍は実現しなかったが、マリナーズでイチローとチームメートになった後は、隣同士のロッカーで親交を深めた。日本語で「ボクハ、ハゲデス」と自虐ネタを繰り出しては周囲を和ませる陽気な男が大仕事をやってのけた。

 今ポストシーズンは12打数1安打と不振とはいえ、ロドリゲスは通算647本塁打で2900万ドル(約22億6200万円)のメジャー最高年俸選手。そのAロッドに代打を送ったジョー・ジラルディ監督は「厳しい決断だったが、心の声が聞こえた」と語った。元来はデータを重視する指揮官が、ひらめきで放った勝負手が見事にはまった。ポストシーズンで途中出場の選手が2本塁打を放つのは史上初。イバネスは2日のレッドソックス戦でも9回に代打で同点2ランを放った後、延長12回にサヨナラ打を放っており、10月の勝負強さは神懸かっている。しかもリードした8回以降は今年76戦無敗、延長戦は16連勝中だったオリオールズ相手だけに価値がある。

 イバネスは夫人の第5子の出産に立ち会っていたため、3日の地区優勝時のシャンパンファイトに参加できなかった。次戦もベンチスタートが濃厚だが、今度は歓喜の瞬間に立ち会う準備ができている。

 ◆ラウル・イバネス 1972年6月2日、米ニューヨーク生まれの40歳。92年、ドラフト36巡目でマリナーズに入団。96年8月1日のブルワーズ戦でメジャーデビューを果たしロイヤルズ時代の02年に103打点をマーク。マ軍復帰後の06~08年には3年連続100打点で勝負強い打撃を発揮した。09~11年はフィリーズに所属し、今季ヤ軍に移籍。通算1947試合、打率.278、271本塁打、1116打点。1メートル88、100キロ。右投げ左打ち。

 ▽イバネスの10月2日VTR シーズン161試合目となる本拠地でのレッドソックス戦で、2点を追う9回無死一塁で代打出場。起死回生の同点2ランを右翼席に運ぶと、延長12回2死一、二塁では三遊間をしぶとく破るサヨナラ打を放ってヤ軍が勝利した。この結果、優勝マジックを1とし、翌3日のシーズン最終戦のレ軍戦中に2位オリオールズが敗れたためヤ軍の地区優勝が決まった。

 ≪ポストシーズン最年長サヨナラ弾≫ポストシーズンでの40歳のサヨナラ本塁打は歴代最年長。途中出場の選手が2本塁打を放ったのもポストシーズン初の快挙だ。また、ヤンキースの選手のポストシーズンの本塁打は09年ワールドシリーズ第3戦の松井以来。ヤ軍選手のサヨナラ本塁打は11人目(12度目)となった。

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2012年10月12日のニュース