小久保の最終打席で迷いも…西 ノーヒッター「どうしようかと」

[ 2012年10月9日 06:00 ]

<ソ・オ>ノーヒットノーランを達成しナインと喜ぶオリックス・西(左から2人目)

パ・リーグ オリックス3―0ソフトバンク

(10月8日 ヤフーD)
 仰天のシーズン最終戦ノーヒットノーランだ!オリックスの西勇輝投手(21)が8日、ソフトバンク戦で打者28人を1四球だけの無安打に抑える快投。ソフトバンク・小久保裕紀内野手(41)の引退試合で史上76人目、87度目のノーヒットノーランを準完全試合で達成した。最終戦でのノーヒットノーランは、1リーグ時代の37年春の石田光彦(阪急)以来75年ぶりで、2リーグ制後では初となる。最後の最後に思わぬ「珍事」。この日、来季からの就任が発表された森脇浩司新監督(52)へ最高のプレゼントになった。
【試合結果】

 捕手の伊藤の方が、人目もはばからずボロボロと号泣していた。対照的に主役の西は、何とも複雑な表情ではにかんだ。「どう喜んでいいか分からなくて…」。ナインから頭を叩かれ、マウンド上に祝福の輪ができる。シーズン最終戦でまさかの結末。快挙というより、これは珍事だ。

 「(小久保の)引退が頭にあって申し訳ないと思ったがうれしかった。誰も(達成すると)思っていなかったと思う。(9回は緊張で)上がらないように、と。一球一球に集中するだけだった」

 シーズン最終戦は、数々の大記録を残したソフトバンク・小久保の引退試合。敵地のスタンドは惜別ムード一色だった。そんな中で小久保とは3打席対戦し二飛、一飛。そして7回に回ってきた第3打席、小久保にとってレギュラーシーズン最後となった打席の際は「本当にどうしようかと思った。新聞に“ガチで来い”と書いてあったので、思い切って真っすぐを投げた」。8球粘られ、うち5球が直球。最後はこん身の142キロで遊ゴロに仕留め、メモリアル安打を許さなかった。

 「きょうはどの球でもストライクを取る自信があった。完封は狙っていたが、安打を打たれなかったのは光さん(伊藤)のおかげ」。5回1死から松中に四球を与えてもペースは変わらない。抜群の制球力。速球で内角をえぐり、変化球を低めに落とした。9回2死、109球目の松田への初球は137キロの外角スライダー。遊ゴロ。本来は主役として盛大に送り出されるはずだった小久保は、ベンチで苦笑いだ。

 プロ未勝利で迎えた昨季。岡田監督から先発に抜てきされ、3年目で10勝を挙げた。今季はチームが一番苦しかった夏場に右肩痛で1カ月半も戦列を離れた。恩師は9試合を残して解任。胸が痛んだ。「岡田監督には、もっとやれるというアピールをしたかった」。悔しさを力を変えた。期待の21歳。試合後、来季の就任が発表された森脇新監督から言われた。

 「新しいスタートだぞ」――。

 「これを来年につなげたい」と西。最下位からの巻き返しへ、最高のデモンストレーションになった。

 ▼オリックス・伊藤(西の快挙に号泣)できないと思っていたことをやってくれた。ブルペンでよくしゃべっていて、あまり集中していないのかなと思ったんですが…。

 ▼オリックス・星野投手コーチ(西について)低めにボールがきてたし、いい感じで腕が振れていた。

 ◆西 勇輝(にし・ゆうき)1990年(平2)11月10日、三重県出身の21歳。菰野では08年夏の甲子園に出場。同年ドラフト3位で入団。1年目の9月21日の楽天戦(Kスタ宮城)でプロ初登板。3年目の11年には4月17日の楽天戦(甲子園)でのプロ初勝利を含む10勝を挙げ頭角を現した。今季、背番号が63から21に変更。通算成績は65試合で18勝10敗1セーブ、防御率2・92。1メートル80、80キロ。右投げ右打ち。

 ≪佐藤義則以来17年ぶり≫西(オ)が5月30日の杉内(巨)以来、プロ野球76人目、87度目のノーヒットノーランを達成した。パ・リーグではエルビラ(近鉄)が00年6月20日西武戦で達成して以来12年ぶり。オリックスでは95年8月26日近鉄戦の佐藤義則以来17年ぶり8人目、9度目になる。

 ≪72年ぶり2人目≫西が許した走者は5回に四球で出塁させた松中だけ。許した走者1人だけで完封した「準完全試合」は前記杉内以来45度目。チームでは40年4月14日阪神戦の浅野勝三郎(四球)、67年7月18日西鉄戦の米田哲也(二塁打)に次ぎ3人目。準完全のノーヒットノーランは浅野以来72年ぶり2人目だ。

 ≪75年ぶり2人目≫オリックスはこの日がシーズン最終戦。ノーヒットノーランをチームの最終試合にマークしたのは、春秋2シーズン制だった37年春に石田光彦(阪急)が7月16日セネタース戦で記録して以来75年ぶり2人目。10月以降のノーヒットノーランは04年10月4日広島戦の井川慶(神)まで9人いたが、チーム最終戦は1人もいなかった。

 ≪17年ぶり13度目≫今季は前田健(広)も4月6日DeNA戦でノーヒットノーランを達成しており西は3人目。同一シーズンに3人以上のノーヒットノーランは95年に西崎幸広(日)、佐藤義則(オ)、ブロス(ヤ)と3人が記録して以来17年ぶり13度目。なおシーズン最多人数は40年の5人。

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