ポロリの金子誠 ベテランだからこその“欲”がアダに

[ 2012年9月23日 06:00 ]

<西武・日本ハム>8回1死一、三塁、代打カーターの遊ゴロをファンブルする日本ハム・金子誠(手前)

パ・リーグ 日本ハム4-5西武

(9月22日 西武D)
 二兎(と)追う者は一兎をも得ず――。首位・日本ハムは22日、ベテラン・金子誠遊撃手(36)のつぶやいた故事とともに、西武との直接対決で手痛い連敗を喫した。同点の8回1死一、三塁。二遊間のゴロはバックホームも併殺も可能だった。プロ19年目の名手は瞬時に併殺を選択したが…。ギリギリの勝負でのぞいた「欲」が明暗を分けた。

 打球の方向も、守備位置も金子誠の狙い通りだった。だから最高の結果を求めた。併殺でチェンジ、同点で9回へ。そう思った瞬間、グラブから打球がこぼれた。

 「二兎追う者は一兎をも得ず…。欲をかいたらいかん。欲が悪い方に出てしまった」

 ベテランらしい表現で振り返った場面は8回1死一、三塁。ヘルマンの右前打で同点とされた直後だ。打席に代打・カーターを迎え、ベンチは「前進守備でバックホーム。取れる打球は併殺を」の指示だった。しかし、初球を空振りしたところでバックホーム狙いだけに変更。福良ヘッドコーチは「中途半端は野手が迷うから本塁一本にした」と言った。

 そこで金子誠は独自の判断で守備位置を二塁ベース寄りへ。この試合は二遊間方向への打球が多かったことと「左打者であの方向(二遊間)の打球は併殺が取れる」が理由だった。守備の位置取りと打球の読み。それがあるからこそ、下半身に不安を抱えているベテランは安定した守りを見せてきた。カーターの打球は思い描いていたコースへ転がり、金子誠は自分の判断で併殺を選択した。

 ただ、併殺を取るには前に出て捕球しないと間に合わない。結果、難しいバウンドではじき、打者走者しかアウトにできなかった(記録は遊ゴロ)。確実に処理してホームなら三塁走者・中村を刺せた打球。それでも栗山監督は「あのタイミングで行かないと(併殺は)間に合わない。マック(金子誠)らしく勝負にいったのだから仕方ない」と言った。

 V争いの佳境で生まれた難解なプレーが勝敗を分けた。それでも、まだ0・5ゲーム差で首位にいる。残り10試合。ただ勝てばいいことを金子誠も栗山監督も知っている。

 ▼日本ハム・三木内野守備コーチ(8回の守備について)指示を出すのが遅れたこともある。ベース寄りの強い打球ならカーターの足も考え、ゲッツーに取れるから。

 ▼西武・ヘルマン(8回に同点の右前適時打)真ん中に来た甘い直球を仕留めようと思っていた。強いゴロを心がければ、抜けると思っていた。

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2012年9月23日のニュース