「一生に一回もない」珍安打のイチ ジーターに“注目”

[ 2012年9月23日 06:00 ]

<ヤンキース・アスレチックス>3回、打球が投手のユニホームの中に入る内野安打を放つヤンキースのイチロー

ア・リーグ ヤンキース2―1アスレチックス

(9月21日 ニューヨーク)
 今のこの男には、何かが起こる。ヤンキース・イチローの止まらない勢いを象徴するようなプレーが飛び出した。

 「何が起こったのか分からなかった。一生に一回もないでしょう、あんなこと。へへへ」と日米通算3866本目の安打を振り返った。

 3回1死で迎えた第1打席だった。低めの球を叩いたピッチャー返しの強いゴロ。これが、アスレチックスの先発パーカーの出したグラブをはじき、胸元からユニホームの中に潜り込んだ。イチローは訳も分からず一塁へ。世にも不思議な内野安打だった。

 今季メジャーデビューしていきなり11勝を挙げている23歳右腕は、首を振りながら少し恥ずかしそうに胸元に手を入れてボールを取り出した。試合後は「ボールを押さえ込もうとしたら入ってしまった」と苦笑い。ユニホームの第1ボタンを外して投げていたのも、珍事の一因となった。

 一塁塁上のイチローの脳裏に浮かんだのはジーターの顔。「“何でそんなに簡単に打てるんだ?”みたいな感じで毎回ジョークで言ってくる」。5回の左前打で4試合連続の複数安打とし、4戦で15打数11安打。打撃が簡単そうに見えるのはジーターだけではないだろう。

 ヤ軍は延長10回サヨナラ勝ちで今季2度目の6連勝。貯金を今季最多の24、地区優勝マジックを12とした。「経験がない世界だから面白いよね。見たことのないもの、そこに身を置くというのは、やっぱりいいもの」。天才打者は、未体験の領域を心底楽しんでいる。

 【日本球界の過去の珍打】

 ☆グラブに 85年5月23日の中日―広島戦(ナゴヤ)で、2回に中尾(中日)が放ったゴロを投手の北別府(広島)がバックハンドで好捕。しかし、ボールがグラブの網に引っかかってしまい送球できず、内野安打。

 ☆秘打 97年10月19日、日本シリーズ第2戦の西武―ヤクルト戦(西武)で、6回1死満塁からホージー(ヤクルト)は杉山(西武)の内角スライダーにバットを止めたが、グリップエンドに当たり打球は本塁前に転がった。あ然とした捕手・伊東(西武)の野選を誘って1点を返した。

 ☆ワンバウンド 00年5月13日のオリックス―ロッテ戦(神戸)の初回に、イチロー(オリックス)が後藤(ロッテ)のワンバウンドの球をゴルフスイングのような軌道でスイング。右前打を放った。

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