80勝到達の原監督 非情采配貫いた「チーム最善策」

[ 2012年9月20日 06:00 ]

<中・巨>中日に勝利してマジック1とし、ファンの声援に帽子をとって応える巨人・原監督

セ・リーグ 巨人3-2中日

(9月19日 ナゴヤD)
 巨人・原監督は今季一番、穏やかな表情で会見の場に姿を現した。3連覇を果たした09年以来の80勝に到達し、優勝へのマジックナンバーは1。これまで抑えてきた栄光への焦がれる思いは、言葉となってあふれ出た。

 「明確にね、数字が目の前に来たわけですから。しっかり勝って(優勝という)勝利を勝ち取りたい。それは私だけじゃなく、全員が思っていること。集中力を持ちながら、高ぶらずに戦っている(選手の)姿が頼もしい。素晴らしい勝利を目的に戦います」

 2位中日との今季最終戦を取り、11勝10敗3分けで勝ち越した。今季の原野球を象徴する采配が続いた。前日は、同点の5回2死三塁で2打数無安打の高橋由に代打・古城を送った。この日は1点リードの7回に3番手で山口を投入。6月27日の広島戦(マツダ)以来、2イニングを任せる決断で1点差勝利につなげた。「統一球になってチャンスは少なくなった。打てる手は打っていく。後手に回ると勝っていけない」。今季、一貫して持ち続けた信念を貫く采配だった。

 同じ中日戦だった7月1日の東京ドーム。新人右腕・田原を先発起用しながら、0―0の2回無死満塁で打席が回ると代打・矢野を投入。その矢野の先制2点二塁打が効いて勝利をもぎ取った。「今年は全員で戦う。全員がカバーし合って勝つ」。個人成績を犠牲にしてもチームの白星が最優先。時には非情采配と批判も浴びたが、ぶれなかった。

 昨年11月15日、当時オーナーだった桃井球団社長が秋季キャンプ中の宮崎を訪れ2年契約での続投が正式決定した。だが、実質的な1年契約を意味する厳しい言葉もかけられた。「3年連続V逸なら、それはやっぱり責任を取らないといけない」。4月にはすでに阿部、村田にも送りバントを命ずるなど、主力にもチームプレーを徹底的に植え付けチームを束ねた。

 厳命されたリーグ制覇。形に、実績にこだわらず、なりふり構わない采配。「チーム最善策」と言い続けた指揮官としての戦いが、間もなく結実する。

 ≪3年ぶり通算5度目≫原監督は今季80勝目。監督としてシーズン80勝以上は09年に89勝して以来3年ぶり通算5度目。シーズン80勝を5度以上は鶴岡監督の9度を筆頭に原監督は4人目だ。また、今季原監督は9シーズン目だが、就任9シーズンで5度の80勝は、水原監督の7度に次ぐ回数になった。

続きを表示

2012年9月20日のニュース