広瀬 渋~くサヨナラ打!右前ポトリ「勝てば何でもいい」

[ 2012年9月15日 06:00 ]

<広・中>サヨナラ打を放った広島・広瀬(中央)はウオーターシャワーの祝福を受ける

セ・リーグ 広島4-3中日

(9月14日 マツダ)
 苦しみながらも勝った。広島は14日の中日戦(マツダ)で今季3度目のサヨナラ勝利。エルドレッドらがつないだ3―3の9回1死満塁で、広瀬純外野手(33)が執念のポテン安打を右前へ落とした。力投のエース・前田健が8回途中で3失点降板する予想外の展開も、最後は一念発起した攻撃陣が15試合ぶりに4点以上を挙げ、チームの連敗を3で止めた。

 殊勲打を放ったヒーローは開口一番「勝ってよかったぁ」と話し、笑顔をのぞかせた。7回を終えて3―0。ところが、力投のエースが8回途中に崩れてしまう。まさかの同点。3位・ヤクルトが勝った以上、引き分けは負けに等しい。広瀬の声は本音だった。

 「スゴく重い雰囲気になっていたし、引き分けで終わるとチーム的にも厳しい。みんながつないでくれた。きれいな安打を打ちたかったけど、勝てば何でもいいです!」

 そのシーン。1死から梵が三塁内野安打で出塁すると、エルドレッドはこの日3本目の安打を中前へ運ぶ。途中出場の中東も左前へ。絶好の1死満塁で打席に33歳。カウント3ボール1ストライクから、雄大が投じた142キロの内角低め直球を叩くと、フラフラと上がった飛球は右前にポトリと落ちた。勝利への執念が結実した瞬間だった。

 巨人に3連敗し、出直しを誓った一戦。練習前の円陣で、野村監督は野手陣に「切り替えてやろう」と珍しくカツを入れた。目下14試合連続3点以下。貧打解消へ、試合前のフリー打撃にも工夫を凝らした。通常の5分2セットを、4人1組5スイング15分間のローテーションに変更。「集中力を高め、気分転換の意味もある」。町田打撃コーチはそう説明した。

 貧打は脱した。2桁14安打は9試合ぶり。ただ拙攻も目立った。初回1死一、三塁を皮切りに、3回2死満塁、5回1死一、三塁などの好機をことごとく逃した。エースをもっと楽に投げさせられた展開。広瀬は「マエケンに勝ちをつけられなかったことに責任を感じる。他の選手もそうだと思う」と言葉を重ねた。

 当然、指揮官にも笑顔はない。「好機がありながら安打が出ない。点が取れない流れが投手に負担をかけている」。渋い表情をのぞかせる一方で「ま、勝てばいいです。勝ちをいい方に持って行きたい」と力を込めた。

 直接対決を6試合残す3位・ヤクルトとは1差のまま。「相手どうこうじゃなく勝つしかない。1日1試合1球に、集中するしかない!」。酸いも甘いも知るベテランはナインの思いをそう代弁する。正念場。さぁ、意地と執念を見せる時だ。

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2012年9月15日のニュース