「2位はどうだ?」長谷川穂積 金本から贈られた2つの金言

[ 2012年9月13日 17:15 ]

2010年11月、長谷川が2階級制覇を達成したWBC世界フェザー級王座決定戦を観戦する金本

 12日に今季限りでの現役引退を表明した阪神の金本知憲外野手(44)。“アニキ”を尊敬するボクシング元世界2階級王者の長谷川穂積(31=真正)は、金本から贈られた2つの“金言”を披露した。

 09年4月。長谷川はWBC世界バンタム級9度目の防衛戦への調整中だったが、悩みの渦中にいた。長期防衛する王者の多くが苦しむ、モチベーションの保ち方。具志堅用高氏が持つ連続防衛13度の日本記録はまだ遠く、減量苦もあり階級を上げての2階級制覇や海外防衛へ心が揺れていた。

 同じ関西のトップアスリート同士、食事を共にする間柄だった金本に、その胸中を打ち明けた。返ってきた答えが「通算安打の日本記録保持者は知ってても、2位はどうだ?」だったという。

 ちょうどイチローが張本勲氏の3085安打を更新した時期。イチローや張本氏の名前は出てきても、2901安打で続く野村克也氏の名前は瞬時に浮かばない。「海外防衛も2階級制覇も(具志堅氏の)13回を塗り替えてからやった方が格好いいぞ」。重みを持つ言葉が、胸に響いた。

 もう一つが10年4月。WBO王者モンティエルとの11度目の防衛戦。勝てば事実上の統一王者となるボクシング人生最大級の重要な一戦だったが、4回逆転TKO負け。金本も1492試合で連続試合フルイニング出場が途切れた時期だった。

 「オレは周りが気がつかへんほど明るくやるから、おまえもな。周りに気を使わせることなく、ケロッとしとけ」。この言葉を胸に長谷川は同年11月、約9年ぶりの敗戦を乗り越え、日本人初の飛び級による2階級制覇を果たした。

 栄光も挫折も克服した金本の引退に、長谷川は「引退されてもなお、近くで吸収したい先輩」と言葉を尽くした。

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2012年9月13日のニュース