笠原 プロで勝てなかった父に贈る初勝利「感謝している」

[ 2012年9月13日 06:00 ]

<巨・広>5回、天谷を三振に斬り、吠える巨人・笠原

セ・リーグ 巨人5-0広島

(9月12日 東京D)
 父を超えた。巨人は12日、4年目右腕の笠原将生投手(21)が広島を相手に6回を無失点に抑え、プロ初勝利を挙げた。プロ2度目の先発で7三振を奪う力投。ロッテなどで投手としてプレーし、未勝利に終わった父・栄一さん(46)がかなえられなかった夢を息子が果たした。巨人でプロ初勝利を挙げたのは今季6人目で1シーズンで史上最多。原辰徳監督(54)は史上18人目の監督通算700勝を達成し、優勝に向けたマジックナンバーは1つ減って「10」となった。
【試合結果】

 尊敬する父・栄一さんが勝てなかったプロの世界。お立ち台に向かう笠原はゆっくりとかみしめるように段を上がった。

 「最高にうれしいです。父の分も、という思いがあった。小さな頃から野球を教えてもらってきた。感謝しています」

 成長の証は3回だ。2死一、三塁から梵をストレートの四球。満塁で4番エルドレッドを迎えた。「舞い上がっていた」という21歳はマウンドに駆け寄った小笠原から「(阿部)慎之助のミット目がけて投げれば大丈夫」と背中を押され、冷静になれた。139キロ直球で空振り三振。5回にも2死満塁のピンチを招いたが、天谷をフォークで空振り三振に仕留めた。

 プロ初先発した5月3日広島戦(東京ドーム)では4回3失点降板。3回に3点の援護をもらうと「きれいに投げようと思いすぎた」と腕を振れなくなった。守りに入ったためだ。この日は初回から2点の援護を受けても「腕を振ることを意識した」と攻め続け、同じ相手にリベンジした。

 高1の冬。一塁手だった笠原は打撃投手を務めた。既に1メートル80近くあった身長を生かした角度のある直球は威力十分。父と同じ投手の道を歩み始めた。1メートル91の長身。4年目で1軍初昇格した今季は肉体改造にも励んだ。「1軍の打者は簡単に打ち返す。体を強くしようと」。週4回の筋力トレーニングとプロテインの摂取で体重は3キロ増えて95キロに。川口投手総合コーチに「球が重くなった」と言わしめた。

 前日の小山に続き、90番台の投手が勝利。マジック10とし、監督通算700勝目を挙げた原監督はまた一人孝行息子が現れ「(笠原は)自分の投球を信じて投げ切れた。大きな成長の跡」と目を細めた。笠原は指揮官の節目の勝利でもあるウイニングボールを父に渡すという。「全然(父を)超えていない。いつかは超えられたかなと思えるようになりたい」。父を超えたい。その思いが笠原を成長させてくれる。

 【笠原 将生(かさはら・しょうき)】

 ☆生まれ 1991年(平3)1月9日、埼玉県生まれ、福岡県育ちの21歳。1メートル91、95キロ。足のサイズは29センチ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 小2から野球を始める。中学は地元・福岡を離れ、明徳義塾に進学。3年時に4番・左翼で全国軟式野球大会優勝。高校は地元の福工大城東に進学。当初は内野手だったが、1年冬から投手に転向。3年夏は準々決勝敗退。08年ドラフト5位巨人入団。

 ☆趣味 音楽鑑賞。ナオト・インティライミの「タカラモノ~この声がなくなるまで~」が好き。ジャンル問わず洋楽も好む。

 ☆特技 ヘディングだけでのリフティング。最高で130回を記録したこともある。

 ☆家族 両親と弟、犬1匹、猫1匹 弟の大芽(福工大城東、投手)は今秋のドラフト上位候補。

 ☆憧れの選手 ソフトバンク・小久保裕紀 高1まで内野手だったため、憧れの選手は投手ではない。福岡ドームにも何度も足を運んだ。

 ☆好きな芸能人 女優の夏菜。

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