4番の仕事だ!中田“無欲の一振り”でハム首位再浮上

[ 2012年9月12日 06:00 ]

<ロ・日>5回無死、先制の左越え本塁打を放った中田

パ・リーグ 日本ハム3-2ロッテ

(9月11日 QVC)
 欲はない。あるのは勝利への執念だけだ。千葉の夜風に吹かれ、チームを8月24日以来の首位へ導いた日本ハム・中田に充実感が漂っていた。

 「今年は全く“打ちたい、打ちたい”という気持ちがない。勝つことに貪欲というか、勝つこと第一にやってる」

 無欲は力まない。邪念がないから狙い球を素直に打てる。5回。それまで打者12人が全く打てなかったグライシンガーを打った。2球目。甘く来たカットボールを迷いなく振った。「完璧な手応え」の一撃が左翼へ突き刺さる。チーム初安打が先制弾。中田は「勝さん(武田)が粘り強く投げてた。誰が打つではなく、あの回に点を取りたかった」と言った。

 三塁ベンチ前で円陣を組んだ5回。先頭打者のため円陣からすぐ抜けた中田は、福良ヘッドコーチの言葉を思い出していた。「タイミングが合わない球は打つな。待ってる球が来たら、しっかりスイングしろ」。2球目のカットボールは待っていた球だった。プロ5年目で初の大台20号。本塁打王争いでもトップの西武・中村に2本差に迫った。そして、日本ハムで右打者が20本塁打を放ったのは、05年のあの新庄以来だ。

 タイトルなどには無関心で、野球を楽しみ、ファンを楽しませるのが新庄だった。その新庄が日本一を花道に引退した2年後にプロ入りした中田だが、無欲で楽しむ精神には共通点がある。「ホームランに、それほど欲はない。チームがいい位置にいるから、それを楽しみたいんです」。中田の一発は、6回の3連続二塁打での2点につながった。チームは8度目の挑戦でついに今季最多の貯金11。栗山監督は「これが中田翔。あの一発が大きかったね」と、うれしそうに目を細めた。

 し烈なV争い。無欲の4番が楽しむほど、チームは優勝へ近づく。

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