「ゾーンに入った」新人・岡島 涌井討ちサヨナラ打

[ 2012年9月9日 06:00 ]

<楽・西>9回1死満塁、代打の楽天・岡島(左から3人目)がサヨナラ打を放ち、ナインから手荒い祝福

パ・リーグ 楽天6―5西武

(9月8日 Kスタ宮城)
 記憶がなくなるほど集中していた。楽天・岡島が打ったのは見逃せばボールの低めの変化球。本塁付近でワンバウンドした打球がそのまま二塁手の頭を越え、サヨナラ右前打。気付けば、びしょ濡れだった。

 「何も考えることなく打席に入った。打ったボールが何かも全く覚えてない。“無”です。“ゾーン”に入りましたね」

 新人では02年のロッテ・喜多以来10年ぶりとなる2本目のサヨナラ打。しかし最近は凡打の内容が悪く、この日は先発を外れていた。9回1死満塁となり「自分は(前打者で四球出塁したフェルナンデスの)代走だと思った。まさか代打とは」と最初はおじけづいた。それでもわずかな時間で極限まで集中力を高め、勝負強さを示した。

 恩返しがしたかった。昨秋ドラフトで楽天は岡島をリストアップはしていたが、優先順位は低かった。独自のルートで白鴎大・岡島の情報を入手していた星野監督は、4位指名を検討していたテーブルで「岡島は打撃も守備もいいらしい。他に獲られる前に指名しろ」と指令。「鶴の一声」がなければ「楽天・岡島」は誕生していなかった。指揮官に「思い切って行け!」と背中を叩かれて向かった打席。必死だった。

 チームは3連勝も借金5の5位。逆転でのCS進出へ向け、負けられない戦いは続く。走塁ミスなど細かいミスもあり「野球がヘタ」と嘆いていた星野監督も、50メートル6秒1の俊足で併殺の可能性が低かった岡島の代打的中に「あそこは岡島だよ」と少しだけ表情を緩めた。

 黒髪、短髪で性格は真面目。23歳の誕生日だった前日の7日も試合後に寮に直帰した。「睡眠は8時間。遊びにも行かないです」。ひたむきな姿でチームを支えている。

 ◆岡島 豪郎(おかじま・たけろう)1989年(平元)9月7日、群馬県生まれの23歳。関東学園大付では2年夏の群馬大会ベスト8が最高。白鴎大では2年時に外野手としてベストナイン。3年から正捕手となり秋には首位打者を獲得した。11年ドラフト4位で楽天に入団。遠投110メートルの強肩と50メートル走6秒1の俊足が武器。春季キャンプでは新人野手でただ一人の1軍スタートだった。1メートル77、82キロ。右投げ左打ち。

 ≪10年ぶり新人2度のサヨナラ打≫ルーキーの岡島(楽)が8月26日の日本ハム戦に続き2本目のサヨナラ安打。新人のサヨナラ安打2本は、02年喜多隆志(ロ)が5月1日のダイエー戦と3日の西武戦で2試合続けて打って以来10年ぶりだ。また、前回のサヨナラ打は先発出場で打ったが、この日は代打。新人の代打サヨナラ安打は、92年10月1日ヤクルト戦の町田公二郎(広=本塁打)以来20年ぶりとなった。

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