WBC参加は?イチ 慎重に「絵文字でいう“苦笑いに汗”」

[ 2012年9月6日 06:00 ]

第3回WBC参加表明

 ヤンキースのイチロー外野手(38)が4日(日本時間5日)、来年3月の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に日本プロ野球選手会が参加することを決めたことについて、「苦笑いに汗」の絵文字で心境を表現した。過去2大会は侍ジャパンの顔としてチームをけん引して連覇に貢献。39歳で迎える次回大会への自身の出場の意思については明言を避けた。

 胸中にはさまざまな思いが入り交じっているのだろう。ようやく3連覇へのスタートを切ることになった侍ジャパン。レイズ戦前、選手会が一度は不参加を表明しながら、紆余(うよ)曲折の末に出場を決めた経緯について感想を求められると、イチローは慎重に言葉を選んだ。

 「慎重なコメントが必要ですね。(軽率な発言は)怖いですね、これ。具体的な言葉で表現するのはちょっと難しいんですけれど、絵文字でいうところの“苦笑いに汗”くらいの感じが、一番気持ちを表すかな」。独特の言い回しでそう話すと、取り囲んだ報道陣が持っていた日本の携帯電話を借り、自分の感情を表す絵文字を指してみせた。

 苦笑いの意味を問われると「それは二転三転、そこを指しているわけですから」と語るにとどめ、秘める思いを口にすることはなかった。連覇した過去2大会の日本代表でイチローは戦力としてはもちろん、精神的支柱でもあった。そしてイチロー自身も日の丸の威信をかけて戦うことに、大きな意義と喜びを持ち続け、第1回大会で優勝を決めたときには「僕の野球人生で最も大きな日」とまで話した。その大会に一時は不参加の可能性もあったことに、納得できない思いがあったのだろう。

 もっとも自身の出場については「そんなの現段階での話ではないでしょう」とかわした。第2回大会前には「(今回)もし勝つことができなかったら、次は“参加したい”ということはできない」と代表引退も覚悟の上の戦いであることを強調し、大会後には「4年後生きているかどうかも分からないでしょう」と明言を避けてきた。

 今回はイチロー自身の難しい立場もある。ヤ軍との契約は今季終了まで。オフにはFAとなり、来季の所属先探しは最優先事項だ。不動の中心選手だったマリナーズ時代とは環境が違う。ヤ軍残留、さらに移籍になるにしても、レギュラーを自分の力で奪い取る必要がある。そのための最も大事な時期がWBCと期間が重なる来春キャンプなのだ。

 イチローは三たび、日の丸のユニホームに袖を通すのか。その動向が注目される。

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2012年9月6日のニュース