歳内 希望の5回1失点 虎リーグV完全消滅の日に…

[ 2012年9月3日 06:00 ]

<神・広>プロ初登板の阪神・歳内は、5回1失点と上々のデビュー

セ・リーグ 阪神3-1広島

(9月2日 甲子園)
 ピンチになればなるほど、阪神・歳内は燃えた。緊張のプロ初登板初先発で初回、安打と連続四球で1死満塁。普通のルーキーなら、ここで崩れてもおかしくない。しかし、このドラフト2位右腕は違った。丸の打席では捕手のサインに首を振りながら、7球連続で直球を投げ込み10球目で三邪飛。続く堂林も遊ゴロに仕留めた。

 「最初は緊張しましたが、2回以降は落ち着いて自分の投球ができたと思う」。マウンドで腕を振り続けた。2回は2死三塁から東出のゴロを捕球できず、強襲安打とされて先制を許した。「捕れる打球だったと思うので、そういった部分もしっかり練習していきたい」と反省を忘れなかった。得点圏に走者を背負ったイニングが3度あったが、5回を4安打1失点。セ・リーグを代表するエース、広島・前田健と互角に投げ合い、最少失点で試合をつくった。

 1年前、聖光学院のエースとして被災地・福島の思いを背負い、夏の甲子園で投げた。阪神入団が決まった際には「福島からプロ野球選手は久しぶりだし、聖光学院からは初めてなので責任がある」と決意を示した。先月5日には、NPB主催の復興支援試合「12球団選抜―オール福島」に先発。「福島での被災を忘れる方がおかしい。それ(福島の自分に対する期待)は持っておかないといけない」と第二の故郷への思いを新たにした。

 阪神にとってはこの日、首位巨人が勝ち、優勝の可能性が完全消滅した日だった。チーム再建を目指すチームにとって、19歳の右腕が新たな光を差し込んだ。くしくもこの日に50歳の誕生日を迎えた和田監督は「もう一回見たいという投球をしてくれた。完全な合格点」。歳内の好投が何よりのバースデープレゼントだった。

 ▼聖光学院・斎藤智也監督 立ち上がり緊張したのかな。でも一切表情を変えなかった。これが僕は一番うれしかった。ポーカーフェースでね。相手が前田健だし、5回を投げ終えて1―1でしょ。大したもんだよ。

 【歳内宏明(さいうち・ひろあき)】

 ☆生まれ、サイズ 1993年(平5)7月19日、兵庫県生まれの19歳。50メートルは6秒5。1メートル83、89キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 小3から猪名川エンジェルスで野球を始める。小園中では楽天・田中がOBの宝塚ボーイズでプレーし3年時に全国大会出場。

 ☆高校時代 聖光学院では甲子園に2度出場し2年夏は8強、3年夏は2回戦で楽天・釜田擁する金沢に2―4で敗れた。3年時にアジアAAA野球選手権の日本代表に選出。11年ドラフト2位で阪神入り。

 ☆持ち球 直球(最速148キロ)、カーブ、スライダー、シンカー、スプリット。最も得意とするスプリットは高校2年時に習得。

 ☆プライベート ビリヤード、音楽鑑賞。幼少時には空手を習う。好きな言葉は一心不乱。好きなタレントは桐谷美玲。

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2012年9月3日のニュース