高山、代打の代打弾!西武、天王山第1R逆転先勝

[ 2012年8月29日 06:00 ]

<日・西>6回2死一、三塁、3ランを放つ西武・高山

パ・リーグ 西武6-3日本ハム

(8月28日 札幌D)
 伏兵の一撃で先勝した。西武は28日、日本ハムとの首位攻防初戦で高山久外野手(30)が6回に自身2年ぶりとなる左中間3ランを放った。「代打の代打」での本塁打は07年以来5年ぶりで、貴重な追加点を叩き出した。昨年は右肘の手術などでノーアーチに終わったプロ13年目の苦労人が大仕事をやってのけ、チームは今季最多タイの貯金9。2位・日本ハムに1ゲーム差をつけた。
【試合結果】

 高山は夢中で走った。感触は良かったが、スタンドに入るか、分からない。左翼手・中田がスタンドを見上げた。打球が左中間席で弾んだ。表情は自然と崩れた。

 「芯だったので、入ってくれよという感じでした。代打なので、いい球は振っていこうと、気持ちを入れていました」

 1点を勝ち越した直後の6回2死一、三塁。熊代の代打で星秀が打席に向かうと、投手が左の石井に代わった。渡辺監督は代打の代打で高山を打席に送った。その期待に応え、3球目の内角直球を完璧に捉えた。10年9月16日のオリックス戦(スカイマーク)以来、712日ぶりのアーチに「気持ちいい。最高でしたね」とおどけた。

 99年にドラフト1位で西武に入団。高卒2年目に4本塁打を放ったが、その後は伸び悩んだ。右の大砲として期待されたが10年間で11本塁打。戦力外も頭にちらつく中、09年シーズン途中に、打撃フォームを変えた。中日の前監督・落合博満氏をほうふつさせる、神主打法。「この打ち方を自分の形にしたい」とバットを振った。右手に打撃用手袋をはめないのは、フォーム固めの際に右手の押し込みを重視し、感触を手に残したためだ。地元・熊本の健軍神社に初詣に訪れた際には「神主打法でいい成績を」と、神頼みで験をかついだ。

 フォームを変えた10年には自己最多の11本塁打。自信を胸に臨んだ昨年は、開幕直後から右肘痛に悩まされ、夏場に遊離軟骨除去手術。シーズン後半をリハビリに費やし、迎えた13年目。出番は代打が多いが、この日までの代打成績は7打数4安打、打率・571。「もう13年もやっているからいろいろなことが分かっている」と、一球への集中力で勝負している。

 チームは首位攻防戦の初戦で逆転勝ち。今季最多タイの貯金9に渡辺監督は「(高山は)よく打ってくれたね」と称えた。主将・栗山が離脱し「クリが戻ってくるまで、いい位置にいようとみんなで話し合っている」と高山。本塁打を放った次の打席では右投手のため代打を送られた苦労人の30歳。こんな男の一打で、チームは盛り上がる。

 ◆高山 久(たかやま・ひさし)1981年(昭56)11月16日、熊本県生まれの30歳。九州学院では1年秋から4番を務め、2、3年夏に甲子園に出場した。高校通算43本塁打。99年ドラフト1位で西武に入団。通算成績は352試合で打率・253、23本塁打、105打点。1メートル77、84キロ。右投げ右打ち。

 ≪07年にも≫高山(西)が6回に代打3ラン。自身代打本塁打は07年6月24日巨人戦、同年6月30日楽天戦に次いで5年ぶり通算3本目だ。この日は代打星秀に代わっての一発。西武の打者で「代打の代打」による本塁打は高山自らが前記巨人戦でマークして以来5年ぶりになる。今季の高山は代打で7打数4安打の打率・571。四球も2度選んでおり、代打の出塁率は・667と高い。

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2012年8月29日のニュース