プロ初10回完封!マー君 44日ぶり完全復活「お久しぶり」

[ 2012年8月27日 06:00 ]

<楽・日>完封復活!!延長10回2死二、三塁、サヨナラの瞬間、バンザイする楽天・田中

パ・リーグ 楽天1-0日本ハム

(8月26日 Kスタ宮城)
 楽天の田中将大投手(23)が26日の日本ハム戦で自身初となる延長10回の完封劇で、7月13日以来の7勝目を挙げた。ここ5試合勝ち星から遠ざかっていたが、最速152キロをマークするなど球威がよみがえり、3安打無四球。チーム に連夜のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。5位ながら、首位・西武とは5・5ゲーム差。完全復活した昨季の沢村賞投手が、大混戦のパ・リーグをまだまだ熱くする。

 お立ち台の第一声は「皆さん、お久しぶりです」とおどけた。楽天ファンはこの笑顔を待っていた。実に44日ぶりの白星。剛球復活の完封劇を演じた田中はスタンドを見渡し、心境を語った。

 「本当に長い間、ふがいない投球が続いてチームに勝利をもたらすことができなかったけど、どんな時も皆さんが声援をくれる。それに応えるためにやってきました」

 エースらしい直球が戻った。最速は152キロ。直球主体に攻めたことで得意のスプリットやスライダーも生きた。6回まで毎回の7奪三振。7回から直球が高めに浮いたが、丁寧にコーナーを突いた。延長10回、岡島のサヨナラ打が飛び出した時、田中は三塁ベンチ前でキャッチボール中だった。自身初の11回を投げる余力もあった。「ファウルだと思って出遅れた」が、殊勲打を放った女房役の元に駆け寄り、熱い抱擁を交わした。112球で、3安打無四球。自身初の延長戦完封が成立した瞬間だった。

 6勝目を挙げたのは、7月13日の日本ハム戦(Kスタ宮城)。先発で5試合勝てなかったのは、09年以来だった。本来の姿を取り戻すために、通常、登板間の調整で1度だったブルペン投球を2度実施した。特に重点を置いたのはテークバックからトップの位置までの右腕の動き。田中の投球理論は「リリースで100%の力をボールに伝える」。この日のように右腕の動きが一定すれば、脱力したように見える投球フォームでも力強いボールを投じることが可能となる。直球のシュート回転もなくなり、制球力も格段にアップした。

 7月27日から着用してきた夏季限定ユニホーム「イーグル・スター」の最終日。「このユニホームで勝ってなかった。最後に勝ててよかった」と笑った。打線が9回まで沈黙しただけに「早めに点を取らなアカン!」と怒気を発した星野監督も田中については「(19勝を挙げた)去年に戻ってきた」と表情を緩めた。

 田中は「23歳はまだまだ若いし何も極めてない。今回の投球を見て相手も研究してくる。その上をいく投球をしなければいけない」と、決して現状に満足することはない。チームは2夜連続のサヨナラ勝ちで、5位ながら首位・西武と5・5ゲーム差。復活した昨季の沢村賞投手が、上位再浮上を目指すチームの原動力になる。

 ≪延長での完封は吉見以来、チーム初の快挙≫田中(楽)が延長10回まで無失点に抑え、サヨナラ勝ちで完封勝利を収めた。延長戦の完封勝利は両リーグで吉見(中)が09年5月15日横浜戦でマークして以来で、田中自身、チームでも初の快挙。また無四死球完封は自身5度目、スコア1―0での完封勝利は初となった。なお田中が先発し延長戦でも続投したのは通算4度目で、山本昌(中)の7度、西口(西)の6度に次ぎ現役3位。タフネスぶりが際立っている。

続きを表示

2012年8月27日のニュース