藤浪 力でねじ伏せた!“最強”松坂並ぶ春夏連覇に王手

[ 2012年8月23日 06:00 ]

<大阪桐蔭・明徳義塾>7回1死、杉原の打球を大阪桐蔭・藤浪がナイスキャッチ

第94回全国高校野球選手権準決勝 大阪桐蔭4―0明徳義塾

(8月22日 甲子園)
 初めて甲子園でゼロを9つ並べたのに、不満だったのか。史上7校目の春夏連覇へ王手をかけた。それでも、大阪桐蔭・藤浪は苦笑いしながら野手とグラブを合わせただけだ。

 「最後はどちらかと言うとピンチだったので少しホッとした感じ。調子自体はあまり良くなかった。きょうは65点です」

 序盤は直球が高めに浮いたが、スライダー、カットボール、フォーク、カーブ、チェンジアップと多彩な球種を操って要所を締めた。直球が駄目でも軸にできる球は他にもある。それが藤浪の強みであり、6回以降は「下半身を使うことを意識して投げた」。球の抑えが利くようになり、直球主体へシフトチェンジ。9回にこの日の最速となる152キロを叩き出した。

 明徳義塾は6月の練習試合で今年、唯一の黒星を喫した相手。潜在意識に刻まれた負のイメージを力ずくで消し去り、74年の金属バット導入後の準決勝では最少タイの被安打2での完封で、明徳義塾の馬淵史郎監督に「力負け」と言わしめた。

 1メートル97という人並み外れた体をコントロールするため、一時は自主的に左手で食事を取った。左右のバランス感覚を強く意識。体を無駄なく使えるようになり、昨夏の大阪大会決勝の大逆転負けが精神面を強くした。泥臭い汗と涙が、今の藤浪をつくり上げている。

 史上初めて春夏同一カードとなった光星学院との決勝。春に快勝していても慢心はない。「一番強い相手。苦しい場面もあると思うが、全員で当たっていきたい」。センバツ優勝の際、西谷浩一監督が「唯一、手も足も出なかった投手」と評したのが98年に春夏連覇した横浜のエース・松坂(現レッドソックス)。「夏には自分もそうなっていたい」

 目標に掲げた松坂と同じ頂まで、あと一つだ。

 ▼センバツ決勝VTR 大阪桐蔭は初回に4番・小池の左越え2ランで先制。同点の3回には安井の右中間への適時三塁打など3安打を集中し3得点。7、8回には犠飛で加点した。光星学院は藤浪から12安打を放ったが好機で1本が出ず11残塁。試合は大阪桐蔭が7―3で勝ち、センバツ初優勝。

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2012年8月23日のニュース