5年前も同じ日に!阿部 サヨナラ弾で今季最大貯金30!

[ 2012年8月20日 06:00 ]

<巨・広>9回、右中間にサヨナラ本塁打を放ち大喜びの巨人・阿部

セ・リーグ 巨人4-3広島

(8月19日 東京D)
 満身創いの主将が決めた!巨人の阿部慎之助捕手(33)が19日、広島戦で自身5年ぶり6本目となるサヨナラ本塁打を放った。両足首に不安を抱え、慣れない一塁守備ではいずれも失点につながる2つのミスを犯したが、名誉挽回の一振り。3年ぶりのV奪回へひた走るチームは3連勝で、今季初めて貯金を30の大台に乗せた。2位・中日が敗れたため、ゲーム差は5・5に広がり、21日にも優勝マジック32が点灯する。

 弱音なんて吐かない。これが阿部の出した答えだった。3―3で迎えた9回先頭。守護神ミコライオの真ん中高め148キロを振り抜く。右中間席へ一直線に歓喜の放物線が突き刺さった。サヨナラの16号ソロ。ナインに水を掛けられ、びしょ濡れになった背番号10は原監督の胸に飛び込んだ。

 「最高です。僕が足を引っ張ってしまい、何とかしようと思っていた」

 同じ8月19日に放った07年以来、5年ぶり通算6本目の劇弾。お立ち台では声を張り上げた。

 不安を抱える両足首の負担を軽くするため、2試合連続で一塁で出場。慣れない守備のミスがいずれも失点につながった。初回先頭の丸のゴロを後逸し、先制点を許すきっかけをつくり、3回1死一塁では宮国のけん制球をそらし三塁まで進まれ、犠飛で追加点。失策は宮国についたが「あれも俺のミス」と背負った。5回3失点で降板した宮国の自責点はゼロ。「宮国には悪いと声を掛けた。野手の気持ちが凄く分かった」。だからバットで何とかしたかった。

 3回に右前適時打を放ったが、同点の7回無死二塁は右飛に倒れた。巡ってきたラストチャンス。両足に負担をかけずダイヤモンドを一周した。7月28日の広島戦(マツダ)で左足首を痛め、かばううちに右足首も悪化。岡崎ヘッドコーチは「他の選手は自分の場所が守れなきゃ休ませる。でも阿部だけは替えが利かないんだ」と力説する。

 前日は8回に決勝の生還後に両手で「×」印をつくり交代を訴えた。だが総力戦で捕手を全員使い切っており、9回はマスクをかぶった。「監督も何とかしたい中での総動員だと思う。選手が受け止めることが大事」。試合後には左足首に消炎剤の注射を打ち、この日も痛み止めの錠剤を飲んだ。前日からは両足首を守るハイカットのスパイクに履き替えた。アメフトの靴を元に軽量に作られ「クッション性もいい。助かるね」と周囲に感謝し、自身は満身創いの体にむちを打った。

 阿部の開幕4番を決断した時、原監督は「主将に、正捕手も。一人3役は負担と思ったが、彼はその方が力を発揮する」と話した。その言葉通り、いや、それ以上に打率・312、68打点はリーグ2冠を独走中だ。阿部は言う。「マジックも30いくつではパッとしない。1桁になったら騒いで」。カウントダウンが迫っても、チームの中心で歯を食いしばる。

 ≪サヨナラ本塁打で3位タイに浮上≫阿部(巨)が9回にサヨナラ本塁打。自身サヨナラ弾は07年8月19日ヤクルト戦以来5年ぶり通算6本目。サヨナラ本塁打の最多記録は清原(オ)の12本だが、巨人では王8本、長嶋7本に次ぎ、二岡と並び3位タイに浮上した。またサヨナラ安打は通算11本目。こちらはチームでは王15本、長嶋14本、原12本に次ぎ、川上と並ぶ歴代4位タイになった(プロ野球記録は清原の20本)。この日は4番一塁で先発出場。阿部が一塁手で先発出場した試合の本塁打は通算12本目。サヨナラ本塁打は初めてだが、他に先制2本、同点1本、勝ち越し2本とあり半数の6本が殊勲アーチだ。

 ≪貯金を30以上は26度目≫巨人が今季の成績を62勝32敗11分けとし貯金を30に乗せた。巨人のシーズン貯金30以上は09年以来26度目。今季のように105試合以内で達成するのは、90年に96試合(63勝33敗)でマークして以来22年ぶりとなった。この日の結果、早ければ21日にも巨人に優勝へのマジックが点灯する。条件は巨人がヤクルトに勝つか引き分け、中日が阪神に敗れることでM32が出る。

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