雄星でレオ今季初2位 T―岡田を3連続K斬り2勝

[ 2012年8月16日 06:00 ]

<オ・西>2勝目を挙げ、岡本篤(背番22)からウイニングボールを受け取る西武・菊池(中央)

パ・リーグ 西武9-3オリックス

(8月15日 京セラD)
 西武は15日、オリックス相手に先発の菊池雄星投手(21)が6回2/33失点で今季2勝目。10安打を浴びながらも8三振を奪う力投を見せ、同じ左腕の井川慶投手(33)との初対決を制した。打線も11安打9得点と爆発し、投打ががっちりとかみ合って3連勝。今季最多の貯金5とし、ロッテを抜いて今季初の2位に浮上した。

 グラブを叩くしぐさも、ガッツポーズも出さなかった。7回、3点目を失い、なおも1死二塁。菊池はT―岡田から内角直球で見逃し三振を奪ったが、口は真一文字に結ばれていた。必死の思いで腕を振り、ピンチを切り抜けた。ここで救援陣にマウンドを託した。

 「あまり調子は良くなかったし、リズムを悪くしてしまったので野手の皆さんに申し訳ない。でも打たれてもビッグイニングをつくらなかったのは良かった」。笑顔なくバスに乗り込む後ろ姿がもがいた跡を物語った。

 直球は最速143キロと走らない。カーブとスライダーでかわしながら、ここ一番で内角に直球を決めた。「なんとか粘り強く投げられた」。特に長打を警戒していたT―岡田とは4打席の対戦で3奪三振。調子が悪くても自己最多の8三振を奪う力投に、光山バッテリー兼作戦コーチは「調子は全然良くなかったけど、変化球を見せて、内角にズバッと直球を投げ込めたのがハマったのでは」と分析した。初めて投げ合った同じ左腕の井川は8失点。「全く意識はなかった。打者としか勝負してないですから」と振り返った21歳は、元メジャー投手とは対照的に10安打を浴びながら、3失点に食い止めた。

 09年、花巻東のエースとして甲子園を騒がせた。ドラフトでは6球団が競合。20年に一人と言われた逸材も結果を残せず悔しい思いをしてきた。「雄星世代」と呼ばれたが、同期の広島・堂林らが今季活躍し、新聞の見出しはいつしか「堂林世代」に。だが、もう気にしなくなった。「僕が活躍してないからそうなるんでしょ」と苦笑いしながら「勝ってナンボ」と繰り返す。プロ意識の高まりと背水の思いが見え隠れする。甲子園に近い京セラドームで輝いた。

 チームは今季98試合目で初の2位に浮上。首位・日本ハムに1・5ゲーム差だ。

 「変化球を低めに決めて、相手を苦しめた。彼は若い投手。ゲームごとにいろんなことがあるけど糧にしていけばいい」と渡辺監督。苦しみも力に変え、菊池は一歩ずつレオのエース道を歩んでいく。

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2012年8月16日のニュース