黒田、完封11勝目!座右の銘「耐雪梅花麗」チームに浸透

[ 2012年8月16日 06:00 ]

<ヤンキース・レンジャース>2安打完封勝ちの力投を見せ、ジーター(左)と笑顔でタッチを交わすヤンキース・黒田

ア・リーグ ヤンキース3―0レンジャーズ

(8月14日 ニューヨーク)
 ヤンキースの黒田博樹投手(37)が14日(日本時間15日)、強打を誇るレンジャーズ打線を相手に6回まで無安打投球。7回に安打を許し無安打無得点の記録は途切れたが、109球を投げ2安打完封で11勝目(8敗)を挙げた。ベテラン投手2人が離脱する苦しい中、09年以来3年ぶりの世界一へ向け安定感抜群の黒田がチームを引っ張る。

 自身よりもチームの勝利を優先する黒田らしい光景だった。最後の打者を打ち取って2安打完封。喜びも控えめに真っ先に捕手マーティンに歩み寄って労をねぎらった。

 「勝つことが何よりも大事。接戦でレンジャーズのような強いチームに勝てたのは良かった」

 強力打線を相手に、打者の手元で鋭く変化するシンカーとスライダーを軸に、右打者には積極的に内角を突いた。7回に初安打を許しても「ノーヒットノーランを簡単にできると思わない。10勝プラスしてくれるなら必死で狙うけど、同じ1勝」と淡々。27アウト中ゴロアウトは17を数えた。

 7回以上を無失点に抑えるのはメジャートップの今季6度目だ。今季24試合で5回を投げきれなかったのはわずか2度。打線の援護が少なく現在11勝だが、ひた向きに投げ続ける右腕の姿は、ある言葉とともにナインの心をつかんでいる。

 3月初旬のキャンプ。ミーティングで、各選手が好きな言葉を日替わりで披露した。黒田が選んだのは西郷隆盛が詠んだ漢詩の一節「耐雪梅花麗」(雪に耐えて梅花麗し)。梅の花は、寒い冬を耐え忍ぶことで、春になれば一番麗しく咲く、という意味で「苦しまずして栄光なしの考え方、それを最初に知ったのは高校のときかな」と説明する。言葉や文化は違っても、梅の花の例えは大ヒットだった。主将ジーターも「彼の詩は、われわれに直接あてはめられるもの。良い時も悪い時も、常に変わらず汗を流し続けることが大切だし、頑張れば必ずその報いがある」と心を打たれた。ジョー・ジラルディ監督は梅の花の写真を探し、自身のパソコンの壁紙にするなど、今やヤンキースのチーム精神を支える言葉になっている。指揮官は「今季チームの投手陣でベストの投球だ」と絶賛した。

 サバシア、ペティットとベテラン左腕2人が離脱する中、「1回抑えても次もある。多少なりとも、こちらの良い印象を与えられたのはあるけど」とライバル相手の快投を喜んだ黒田。チームの大黒柱に成長した右腕にはエースの風格さえ漂っていた。

 ▼耐雪梅花麗 西郷隆盛が1872年(明5)においに向けて送った「偶成」という漢詩の一節。「ゆきにたえてばいかうるわし」と読む。冬の厳しい雪や寒さに耐えた梅の花が、春になって一層美しく咲く様子を表しており、英訳すれば「Plum trees bloom most beautifully as they stand and overcome the cold severe winter」人も試練を乗り越えてこそ大成するとの意味で、教育方針に掲げる学校もある。

 ≪野茂に次ぐ52勝≫黒田はメジャー通算52勝となり、日本人投手では51勝の大家(レッドソックスなど)を抜き、123勝の野茂(ドジャースなど)に次いで単独2位となった。また、完封勝利は今季2度を含む通算4度目。これも、野茂のノーヒットノーラン2度を含む9度の完封に次ぐ数字だ。

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