手負いの秋田商・近藤が力投 主将のクジ引きに救われた

[ 2012年8月16日 06:00 ]

<秋田商・福井工大福井>秋田商・近藤は6回を3失点に抑えた

第94回全国高校野球選手権2回戦 秋田商8―3福井工大福井

(8月15日 甲子園)
 雄叫びを上げた。6回1死二、三塁。助けてくれた仲間のためにも打たせない。こん身の外角直球で5番・馬場を空振り三振。秋田商の手負いのエース・近藤は思わず感情をあらわにした。

 「あそこで取られたら流れが変わる。絶対に抑えようと思った」

 2死後はスライダーで右飛。流れを放さず、6回3失点で信頼する阿部へ後を託した。「指の影響はない。いい形で阿部につなぎたかった」。執念で上がった甲子園のマウンドで、古豪を15年ぶり勝利へ導いた。

 秋田大会準決勝でバントの際に右手人さし指にボールを当て、9針縫った。抜糸は大阪入り後の2日。それでも女房役の三浦主将が大会7日目を引き当て、前日の雨にも恵まれた。「もう大丈夫」。冬場の体幹トレーニングの成果で、指先の感覚が変わってもフォームは崩れなかった。

 打線もナックルカーブの福井工大福井・菅原を徹底した待球策で攻略。太田直(すなお)監督は自身が石川(現ヤクルト)とのバッテリーで勝った97年夏以来の勝利に「選手が一生懸命やったことに尽きます」。近藤の帽子のツバに書かれた「恩返し」はまだ続く。

 ▼ヤクルト・石川(98年卒OB)おめでとうございます。練習時間の空き時間に見ていました。当時のことを思い出したりしました。校歌も聞けたし、(監督の)太田に先日連絡したら“お前も頑張れ”と言われました。

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2012年8月16日のニュース