進学校・済々黌“頭脳プレー”で22年ぶり勝利

[ 2012年8月14日 06:00 ]

<済々黌・鳴門>7回1死一、三塁、済々黌・西の遊直は一塁へ送球され併殺となる

第94回全国高校野球選手権2回戦 済々黌3―1鳴門

(8月13日 甲子園)
 熊本県屈指の進学校・済々黌が、頭脳プレーで貴重な1点をもぎ取った。

 2―1の7回。1死一、三塁から西の打球は遊直(2アウト目)。遊撃手の河野は一塁に転送し、飛び出していた一塁走者の松永もアウト(3アウト目)となった。しかし三塁走者の中村謙が3アウト目の成立より早く本塁に到達。中村謙は帰塁しておらず、鳴門が三塁に送球し、アピール(アウトの置き換え)すれば得点は入らないケースだったが、投手と内野手がそのままベンチに引き揚げたため、野球規則7・10(d)により得点が認められた。

 「(ルールは)もちろん知ってましたし、三塁でどうせアウトになるなら本塁に行った方がいい」と中村謙は帰塁せず本塁に向かった理由を説明した。実は5回にも1死一、三塁で遊直の際、三塁走者の安藤が同じプレーを敢行。併殺成立の方が早かったため得点にはならなかったが、この時に鳴門がルールを理解していないことは分かっていたという。

 池田満頼監督は「打てないから頭を使わんと勝てん。こんな1点の取り方もある」と2年前にルールを教え、練習を重ねてきた。試合で決めたのは初めてだが、創立130年の伝統校で偏差値70、今春は東大など国立大に289人の合格者を出した名門校らしい点の取り方で、22年ぶりの勝利を飾った。

 ▽野球規則7・10(d)「第3アウトがアピールプレーで成立した後でも守備側は他に有利なアピールプレーがあれば、それを選んで先の第3アウトと置き換えられる」「イニングが終わったときのアピールは守備側の投手および内野手がフェア地域を離れるまでに行わなければならない」

続きを表示

この記事のフォト

2012年8月14日のニュース