聖光 昨夏覇者・日大三撃破 石巻出身・岡野が完投

[ 2012年8月12日 06:00 ]

<聖光学院・日大三>昨夏王者の日大三を下し、ガッツポーズの聖光学院・岡野

第94回全国高校野球選手権1回戦 聖光学院2―1日大三

(8月11日 甲子園)
 第94回全国高校野球選手権1回戦4試合が行われた。第2試合では6年連続出場の聖光学院(福島)が昨夏優勝校の日大三(西東京)を2―1で破り2回戦進出を決めた。エース・岡野祐一郎投手(3年)は強力打線を4安打に抑え、1失点で完投した。第1試合では浦和学院(埼玉)の笹川晃平外野手(3年)が本塁打を含む3安打3点の活躍で高崎商(群馬)との関東対決を制した。両校は16日の2回戦で対戦する。

 1―0とリードした5回2死満塁。岡野は帽子のつばをちらりと見た。そこに書かれていたのは「大胆不敵」の文字。日大三の1番・森に内角直球を投げ込む。詰まらせた打球は力ない一邪飛。最大のピンチを切り抜け、雄叫びを上げた。

 「どのチームよりスイングが速かった。粘って我慢できました」

 昨夏の優勝校相手に9回に一発を許して完封こそ逃したが、強力打線を4安打に封じた。復興元年。震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市出身の右腕は「いい知らせを届けることができた」と胸を張った。

 快投の裏には、周囲には分かりにくい2つの変化があった。今春センバツでは1回戦で鳥羽(京都)を完封したが、2回戦で横浜(神奈川)相手に8回途中7失点。直球のシュート回転を直すことに取り組んだ。腕の位置をわずかに上げ、縦のスピンにこだわった。

 もう一つは、右手の動き。08年から県内公式戦76連勝で春夏連続甲子園を決めた福島大会の決勝。試合後、一発を浴びた学法石川の3番・皆川から声を掛けられた。「モーションに入る時の右手の動きで、直球と変化球のクセが出ている」。それから約2週間、ビデオなどを見て、右手の前腕部の動きを修正した。

 迎えた2度目の甲子園のマウンド。外角直球はきれいな軌道で捕手のミットに収まった。自己最速タイの140キロも出た。女房役の長井は「春とは球の質が変わった」と言った。斎藤智也監督は「これだけいい当たりが野手の正面を突いた経験がない。岡野の執念」とエースを称えた。次戦は6月の練習試合で敗れた浦和学院が相手。真価が問われる一戦に、岡野は「攻める」と繰り返した。

 ◆岡野 祐一郎(おかの・ゆういちろう)1994年(平6)4月16日、宮城県石巻市生まれの18歳。宮城・大街道小3年で野球を始め、宮城・門脇中時代は石巻中央シニアに所属。聖光学院では1年秋に初のベンチ入りを果たし、公式戦初登板となった昨秋の県大会1回戦・会津戦では5回参考ながらノーヒットノーランを達成。好きな芸能人は北川景子。1メートル78、77キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2012年8月12日のニュース