名将が泣いた…日大三 土壇場逆転!不振の金子が決めた

[ 2012年7月29日 06:00 ]

<佼成学園・日大三>抱き合って喜ぶ田所(背番7)、金子凌(中央)ら日大三ナイン

西東京大会決勝 日大三2―1佼成学園

(7月28日 神宮)
 第94回全国高校野球選手権大会(8月8日から15日間、甲子園)の地方大会は19大会で26試合が行われ、12大会で代表校が決まった。西東京大会決勝では昨夏の甲子園優勝校、日大三の金子凌也主将(3年)が9回2死一、二塁から逆転2点二塁打を放ち、佼成学園を下して2年連続の出場を決めた。埼玉大会決勝では浦和学院のエース右腕・佐藤拓也投手(3年)が聖望学園を3安打で完封し、春夏連続出場を決めた。29日は神奈川、大阪大会など8大会で決勝が行われる。

 土壇場での逆転勝利の余韻が残る優勝インタビュー。小倉全由(まさよし)監督は感極まって何度も言葉を詰まらせた。

 「監督をこんなに長くやってるけど、きょうみたいな試合は初めて。本当に選手が勝たせてくれた」。昨夏の全国制覇から一転、昨秋は東京1次予選、今春も東京大会1回戦で敗れた。監督29年目。苦労が報われる劇的な勝利を味わい、一気に涙となってあふれ出た。

 試合を決めたのが悩める3番の主将・金子だった。1点を追う9回2死一、二塁から起死回生の右越え2点二塁打。指揮官が「正直、下を向いていた」ほどの崖っ縁から試合をひっくり返した昨夏の優勝メンバーは「今まで打てていなくて迷惑をかけていたので、絶対に何とかしてやるという気持ちだった」と塁上で涙を浮かべながらガッツポーズを繰り返した。

 昨夏は現チームで唯一の主力として2番を打ち、打率・571で日本一に貢献した。だが今大会は準決勝まで・188。決勝でも4回無死一塁でエンドランのサインにバットが出ず、遅れて出したバットに捕手の送球が当たり守備妨害に。7回には平凡な遊飛を落球…。ことごとく空回りしていた中で、最後の最後に主将の意地を見せた。

 準決勝前日の25日夜。小倉監督は不振の金子をファミリーレストランに連れ出した。2人は大の甘党。桃のパフェを食べる金子に指揮官はナタデココを口にしながら「結果は気にしないでもっと楽にやろう」と諭した。眠れぬ夜が続いた主将への指揮官の優しい心遣いが決勝打を生みだした。

 新チーム結成時の合言葉は「優勝旗を返しにいくんじゃなくて奪いにいくんだ」。昨夏の優勝後も甲子園の土を持ち帰らなかった金子は「今年も監督を男にします」と宣言。力強く連覇への挑戦権をつかみ取った。

 ▽日大三(西東京)元F1ドライバーの片山右京氏はOB。

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