観客はファウル“判定”…160キロ腕・大谷 3ランに泣く

[ 2012年7月27日 06:00 ]

<花巻東・盛岡大付>インタビューを受けながら涙を流す花巻東・大谷

岩手大会決勝 花巻東3―5盛岡大付

(7月26日 岩手県営)
 「みちのくのダルビッシュ」が微妙な判定に泣いた。第94回全国高校野球選手権大会(8月8日から15日間、甲子園)の岩手大会決勝で、3季連続甲子園出場を狙った花巻東の160キロ右腕・大谷翔平投手(3年)は、3回に3ランを被弾。しかし左翼ポール際への際どい当たりをめぐって、試合は一時中断したが判定は覆らず、3―5で敗退。怪物は甲子園に出ることなく最後の夏を終えた。日本球界だけでなく、メジャーも獲得を狙う逸材は、今後の進路については「白紙」を強調した。

 球場全体が騒然となった。3回1死一、二塁。大谷が投じた内角高めの148キロ直球が、二橋にはじき返された。左翼ポール際への大飛球。三塁塁審は本塁打と判定したが、付近の観客はファウルのジェスチャーを繰り返した。花巻東ベンチは4度も審判に伝令を送り確認を求めたが、判定は覆らず。微妙な判定に泣き、大谷の夏は岩手で終わった。

 「際どい当たりだったけど、そこに投げてしまった自分のせいです」。「みちのくのダルビッシュ」と呼ばれた怪物は、大粒の涙を流しながら相手打線の実力を認めた。

 雨天順延と盛岡での球宴開催のため、準決勝から決勝まで中6日の異例の日程だった。19日の準決勝・一関学院戦では高校生史上初となる160キロを計測。しかし指揮官が「160キロで(心身ともに)バランスが崩れた」と振り返ったように、期待が重圧となってのしかかった。この日は腕の振りが横振りとなる悪癖が顔をのぞかせ、球速は156キロをマークしたが、ことごとく高めに浮いた。「160キロを出すよりも(甲子園で勝って)岩手の皆さんに喜んでもらいたかった。それができなかったことが悔しい」。声の震えは最後まで止まらなかった。

 岩手から日本一に。その大命題のために、甲子園での連戦をにらみ、連投対策を行ってきた。練習試合ではダブルヘッダーの1試合目に先発。100球前後を投げると、降板後に約7・5キロのランニングを敢行。2試合目は野手として先発し、試合後に再び100球を投げ込んできた。尊敬するOBの菊池雄星(西武)は09年夏の甲子園準決勝・中京大中京戦で故障のため、わずか11球しか投げられなかった。「雄星さんを超えたい」。しかし過酷な夏を1人で乗り切るための対策を披露する場はなくなった。

 注目の今後の進路について、大谷と佐々木監督は「今は考えられない」と話したが、大谷の父・徹さんは「大学、社会人、日米のプロ。全ての可能性がある」と現時点ではあらゆる選択肢があることを強調した。この日も日米9球団のスカウトが視察するなど、その決断に注目が集まる。この日の悔しさは、野球人生の第2章で晴らしていく。

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