イチロー、控え容認…3つの“犠牲”のんでいた

[ 2012年7月26日 06:00 ]

<マリナーズ・ヤンキース>5回、右翼線二塁打を放つイチロー

ア・リーグ ヤンキース2-4マリナーズ

(7月24日 シアトル)
 マリナーズからヤンキースにトレード移籍したイチロー外野手(38)が、交渉過程で控え扱いも容認していたことが24日(日本時間25日)、分かった。ヤ軍のブライアン・キャッシュマンGM(45)が、相手が左投手の場合はベンチスタートとなる可能性を伝えていたことを明かした。移籍2戦目のマリナーズ戦は5回に右翼線二塁打を放ち、3打数1安打。イチローは過去のプライドを捨て、チームの1つのピースとして悲願の世界一を目指す。

 移籍2戦目を終えたイチローの表情は穏やかだった。前日からの反響の大きさを問われると「2500(安打)を打った時には5、6通しかメールが来なかったけど、昨日は来ましたねえ。それでも手足で数えられますけどね。大した数じゃないというのがオチです」と笑顔ものぞいた。

 古巣のエース右腕ヘルナンデスとの初対戦。3回は三飛に倒れたが、5回は93マイル(約150キロ)速球を右翼線二塁打した。「自分が最後までいく、という気持ちがいい。後ろで守っていた通りのイメージだった」と振り返った。投打の顔としてチームを支えてきた2人は18・44メートルの空間であいさつを交わした。

 この日もスタンディングオベーションで迎えられたが、もうそこに過剰な意識はない。ヤ軍の一員としてチームに貢献することしか考えていない。そんなイチローの決意を、ヤ軍のキャッシュマンGMが明かした。移籍に際して3つの条件を出し、イチローは全て受け入れたという。スポーツ専門局ESPN(電子版)によると、その内容は打順下位での起用、左翼の守備に加えて「左腕との対戦時は控えに回る可能性がある」というもの。同GMは「(イチローは)多くの犠牲も全て受け入れた」と語った。

 マ軍での11年半、イチローは休養や故障以外で先発を外れたことは一度もない。だが、チーム総年俸2億ドル(約156億円)のスター集団では、今季左投手に打率・236のイチローは絶対的な存在ではない。打順は2試合連続の8番、練習では左翼も守った。試合前のクラブハウスでは、マ軍時代には見られなかった米メディアの囲み取材にも応じた。ヤ軍の規律を全て受け入れ、グラウンドに立っている。

 「ヤンキースの選手はワールドシリーズを経験している。自分もそこに身をおきたい」。イチローは身も心もピンストライプに染め、残りの3カ月を戦う。

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2012年7月26日のニュース