つなぐ復興への思い…マー君から“東北魂リレー”で全パ1勝

[ 2012年7月24日 06:00 ]

<全パ・全セ>力投する全パ先発の楽天・田中

オールスター第3戦  全パ6―2全セ

(7月23日 岩手県営)
 マツダオールスター2012は23日、東日本大震災の復興支援試合として盛岡市の岩手県営野球場で第3戦を行い、全パが6―2で全セを下した。全パは先発の田中将大投手(23)が2回無失点に抑えるなど、仙台に本拠を置く楽天勢3投手が好投。仙台出身の西武・岸孝之投手(27)も2回無失点で敢闘選手賞を受賞し、全パに初勝利を届けた。震災から500日。岩手で初開催された球宴は東北リレーで被災地に夢を届けた。

 晴れ晴れとしていた。3戦目の盛岡でパ・リーグ初白星。先発した田中はこう振り返った。

 「3連敗はしたくなかった。自分たちは東北のチーム。この地で勝てて良かった」。同じ楽天勢の塩見も投げた。青山も投げた。仙台出身の西武・岸も投げた。東北リレーで勝ち取った忘れられない一日になった。

 岩手での球宴初開催。昨年も本拠を置く仙台での球宴で先発した楽天のエースは投球で思いを伝えた。2回を3安打無失点。2回1死一、二塁のピンチでは力をみなぎらせた。第1戦MVPの中村を140キロの宝刀スプリットで空振り三振。続く相川も3球で追い込む。ところが、4球目はボールになって三盗を試みたバレンティンを嶋が刺した。田中は不満げにマウンドを降りた。「打者と勝負したかった。“こういう終わり方は嫌だな。何だよ”って感じでした」。打者を打ち取って終わらせる。投手の本能から出た言葉だった。

 前半戦は腰痛など故障続きで6勝止まり。それでも選手間投票で選出され、夢舞台に立った。球宴ではチームの垣根を越えて変化球の握りなど意見交換する選手が多いが、田中は「話す選手もいるし、話さない選手もいる。(公式戦で)当たる時もあるから」と勝負師の姿勢はブレない。この日、朝から盛岡城趾公園の周囲を黙々とランニング。岩手の野球ファンにプロの凄さを伝えたい。最速153キロの直球。多彩な変化球も披露した。走者を許しても、得点は許さない。リーグ防御率トップを誇る粘り強い投球を見せ「イニング以上に安打が多い。でも、0点に抑えられた。僕らしいと思う」と笑った。

 岸は6回から2イニングを無安打無失点に抑え敢闘選手賞を獲得した。震災当日。実家と連絡が取れず、野球ができる精神状態ではなかった。家族は無事だったが、2日後の紅白戦を回避したほど。あの時のショックは風化されない。全26球には特別な思いが込められていた。だから、試合後にしみじみと振り返った。

 「東北出身で(チームの)ローテの関係もあるけど、盛岡で偶然重なって球宴という舞台で投げられた。凄くうれしく思う」。東日本大震災からちょうど500日。岩手県営野球場は1万4806人の観衆が詰めかけた。被災地・盛岡で完成した東北リレー。心を揺さぶられたのは、観客だけではない。復興に向け、投げている田中も岸も同じ気持ちだった。

 ▼全パ・秋山監督(ソフトバンク)きょうは何とか勝ちたかった。選手たちの真剣なプレーが(被災地に)勇気を与えてくれる。(先発した田中は)中4日でいってくれたけど、十分な働きをしてくれた。

 ▼全セ・高木監督(中日)畠山の本塁打も出たし、ヒットの数も(多く)出たし良かった。(復興支援試合で)ファンが熱く応援してくれたのが何より。われわれはずっと(被災地を)応援していく。

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