岩手出身、使命のフルスイング!畠山、故郷に感謝のアーチ

[ 2012年7月24日 06:00 ]

<全パ・全セ>4回、右中間にソロアーチを放つ畠山

オールスター第3戦 全セ2―6全パ

(7月23日 岩手県営)
 球場から懐かしい土と風のにおいがした。地元ファンの期待に応えたい。被災者に勇気を届けたい。そんな使命感を背負って全セの畠山(ヤクルト)が120%の力でフルスイングした。

 「打球の方向が右だったのでスタンドまで届くか半信半疑だったが、岩手の人たちの声援が押してくれた」。先頭の4回だった。左腕・塩見の初球を左翼ポールの上空まで飛ばしたが、わずかにファウル。ここから見事に打ち直した。

 「ファウルを打ったときの歓声は耳に聞こえていた。でも、自分の中では打った瞬間にファウルと思った。だから、スタンドをもう一度、沸かせられる打球を打とうと切り替えた」

 2ボール2ストライクからの5球目。外角高めの直球を右中間スタンドへ運んだ。「うれし涙も、悔し涙も流した。思い出がたくさんある球場で打ててうれしい」。甲子園に2度出場した専大北上時代にも「5本塁打ぐらいは打っている」。高校通算62本塁打を記録した地元の英雄だ。ところが、今季はまだ7本塁打。チーム打撃にこだわることで、持ち味も消えた。

 「最近はこんなに思い切って振ることがなかったので、腰が抜けそうになった。でも、バットってこんなに振れるものなんだな」。9回の左前打も持てる限りの力でバットを振った。「自分は花巻出身だが、高校は北上だった。盛岡では何度も試合をした。ここに見に来ている人のほとんどは岩手県民。地元に恩返しをしたい」。そんな気持ちが畠山をよみがえらせた。

 愛媛から岩手に入った22日は美里夫人と花巻の「渡り温泉」に宿泊。家族と団らんの時間を過ごした。この日のスタンドには親戚を含めた大応援団が駆けつけた。実はプロ入りしてから12年間、東北での公式戦で本塁打を打ったことがなかった。「とにかく今回は特別な思いで臨んだ。ここで打てたことは自分の自信にもなる」。試合後は汗も拭わずスタンドに手を振った。「ハタケヤマー!」。敢闘選手賞を獲得した全セの4番への声援はいつまでも鳴りやまなかった。

 ≪東北開催で東北出身選手の本塁打は初≫地元・岩手出身の畠山(ヤ)が全セの先発4番に座り、昨年第1戦以来の本塁打。ヤクルトの打者で通算2本塁打以上はペタジーニの3本に次ぎ、ラミレス、青木の各2本と並ぶ2位タイとなった。またチームでは18本目になるが、4番で本塁打を打ったのはこの日の畠山が初めてだ。球宴の東北開催は昨年の第3戦以来4度目(過去3戦は全て仙台)で、東北出身選手の本塁打は畠山が初。自身にとっても東北地方では公式戦と球宴合わせて出場20試合目で初本塁打となった。

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